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咸臨丸で渡米した勝海舟が帰国後、日本と米国の違いを老中から問われて「亜米利加では、政府でも民間でも、およそ人の上に立つものは、みなその地位相応に怜悧で御座います。この点ばかりは、全く我が国と反対のやうに思ひまする」と答えたと氷川清話(講談社学術文庫)にある。
この話を米大統領選関連の報道を見ていてまた思い出した。保守的な米国のことだから最後はマケイン氏が勝利するのではないか、と思っていたから、オバマ氏の勝利は少なからず意外だったが、オバマ氏の演説を聴いていて、日本の事情はともかく、最も大きな責任を負う大統領にふさわしい人物を米国民は選んだのだなと納得した。日本の衆院選を巡る取材が中座した後だったから、なおのことだったのかもしれない。
米国の議会や省庁のトップを始めとするリーダー層はごく一部を除いて賢いうえに責任感も強い。議員も閣僚も政策に精通しているし、学者たちと対等に議論ができる。クリントン政権時代、そんな光景を何度も目の当たりにして、その都度勝海舟の言葉が蘇り、羨ましく思ったものだ。
しかし、その米国だって誤りを犯すことはあるし、世論のブレも大きい。9・11以後の米政府と米国世論の振幅を見てもそれは明らかだ。オバマ氏が賢いからといって、追従すればよいというものではない。自分たちも賢くなって時にはきちんと米国にもものを言うことが大切なのだろうと思う。オバマ氏勝利の報を聞いての感想である。(前橋総局長・山瀬一彦)
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