朝日ぐんまって?
朝日フォトコン
コラム 
上州日和
平成17年10月分
実りの秋にご用心 [10月28日号]

 車を運転していて、ヒヤッとするシーンが2回続いた。いずれも相手は、袋かバケツを持った歩行者だった。この季節によく見かけるギンナン拾いだ。
 最初は、市街地の裏通りにある狭い2車線の市道。神社境内にあるイチョウの枝が塀をまたいで車道にはみだし、下には点々とギンナンが。80歳近いと思われる男性が、いきなり車道へふらりと出てきた。ギンナンに夢中で車に気がつかなかったようだ。思わずブレーキをかけハンドルを切った。
 2回目は片側2車線の広い道。センターラインは幅1メートル、高さ30センチほどある。ここに植えられたイチョウから落ちるギンナンが目当てで、住民2、3人が競うように拾っている。その1人が木の陰からいきなり出て来た。センターラインが高いから拾う側は安心だろうが、運転している側は思わず冷や汗が出る。徐行し始めて15rほど行ったところで、今度は別の人が車に気付かず車道へ下りて拾い始めた。低速だったから大事に至らなかったが、危険きわまりない。
 実りの秋。自然からの恵みを味わうのは喜びだ。でも、収穫に夢中になって悲劇を招いては元も子もない。ご用心。(南保)


空白 [10月21日号]

 中学時代の友人の訃報が届いたのは、8月下旬のことだった。大学の研究者として生活していた海外での、突然の出来事だったという。
 友人とはいえ中学を卒業してから17年間、一度も顔を合わせていないのだから、友人と呼ぶ資格すらないのかもしれない。
 最後に会ったのは、忘れもしない公立高校入試発表日だった。掲示版に自分の受験番号を見つけられず失意で校門を出た道すがら、彼と出会った。いつものやさしい表情で視線を送ってくれたが、思わず目をそらしてしまった。以来、受験の苦い思い出と、彼の笑顔は心の中で同居していた。それが会えなかった理由だ。
 彼は大学を卒業後、大学院へ進み、地質学者の道を選んだ。世界中を飛び回り、調査を行っていることは風の便りに聞いていた。地道な研究の話をいつか聞いてみたいと思っていたが、それはかなわぬこととなった。 
 彼の活躍は自分にとって刺激だった。そんな自分の気持ちを彼が知るよしもないが、大きな力を与えてくれていた。彼がいなくなった今、心に空白ができた。
 そんな友人の死をどう受け止めたらいいのか分からずに、インターネットの追悼掲示板に寄せられたメッセージをただ眺めている。(伊藤)


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