朝日ぐんまって?
朝日フォトコン
コラム 
上州日和
携帯電話 [4月27日号]

 ある自治体の課長は、約100チームを擁する草野球団体の事務局を務めている。春先には毎年、全チームの対戦表を作るのが任務だ。日頃から本業が多忙の上にこの作業が重なってくる。
 エネルギッシュな課長は「いや、忙しいのは構わない。野球も好きだから」と意に介さないが、問題は「組み合わせ決まった?」「ウチの対戦相手は?」などと、昼夜となくかかってくる携帯電話。これには閉口ぎみだ。携帯番号を教えたはずもない人からかかってくる。「教えたっけ?」「いえ、○○さんから聞きました」と悪気なく答えるという。
 デジタル化が進み、個人情報が瞬時に大量に流出する時代になった。「漏らした」として企業が「今後は管理体制を見直し…」と頭を下げる姿がたびたび報じられる。私たちも「何やってるんだ、全く」と怒る。しかし、自らが細かい情報を漏らしていることには比較的無頓着なのではないか。
 新入学でこの春、新たに携帯を持った人も多いだろう。「○○さんの番号を教えて?」と言われたら、本人の了解を取り付けるべきだろう。自分の情報を守りたいなら他人の情報も大切にしよう。(南保)


真の名物 [4月20日号]

 先月、ギョーザの街・栃木県宇都宮市を訪れる機会があった。JR宇都宮駅東口前には、「餃子像」が建てられていて、街のあちこちには餃子の看板が目立つ。
 同市は、「家計調査年報」(総務省)で、一世帯当たりの餃子年間購入金額が全国1位を継続していることから「ギョーザの街」として広く知られるようになったという。市内にはギョーザを扱う店が200軒以上もあり、行列ができる人気店も多い。
 ある一軒のギョーザ専門店に入ってみて、驚いたのは、そのメニューだ。群馬県内では、ギョーザは中華料理の一品というイメージが強いが、その店のメニューは「焼き餃子」と「水餃子」のみ。「ラーメン」どころか、「ライス」すらない。客は、餃子だけを食べて店を後にする。このギョーザ文化は独特のものだ。さらに、隣のテーブルからは、市内各店のギョーザの味や特徴について延々と話す「声」が聞こえてきた。そんな様子から、ギョーザが宇都宮の本当の名物であることが実感できた。
 帰りがけに、案内してくれた知人から「群馬の名物は何?」と尋ねられ、答えに窮した。県内各地でも名物を作ろうという動きはある。だが、市民から愛される、本当の「名物」を作るのは簡単ではないと思った。(伊藤)


オカンと息子 [4月13日号]

 先日、ムービックス伊勢崎の試写会「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(14日公開)のへ行ってきた。200万部を超えるベストセラーとなったリリー・フランキーの同名自伝小説を、映画化した話題作だ。
 筑豊の炭坑町で育った少年が、上京後に呼び寄せた母を東京タワーの見える病院でみとるまでを描いている。とにかく、キャスティングが良い。主役のオダギリジョー、オカンの樹木希林、オトンの小林薫、みんな役にハマっている。過剰すぎず、素っ気なさすぎない演技は心地良かった。
 前評判通りの「深い人間愛を描いた感動作」であることは間違いない。実際、号泣率は高く、あちこちから鼻水をすする音が聞こえてきた。ただ、息子でもなく、息子を産んだことのない私にとって、映画の「オカンと息子」の濃密すぎる関係には正直、息苦しさを感じた。私見で申し訳ないが、オカンと娘の関係は、もっとクールでドライでシビアな気がする。
 思ったほど泣けなかったのは、そんなところが理由かもしれない。でも、見終わった後は心がジンワリし、母にもっと優しくしようなんて反省した。普通に面白かったし、素直に良い映画だと思う。(中島)


家庭力 [4月6日号]

 大学生の学力低下が数年前から問題になっている。「ゆとり教育の弊害」「学生数が増えて質が低下した」など、教育界では様々な意見が飛び交っている。
 先日ある大学教授と話す機会があった。教授いわく「学力の問題以前に、あいさつしない者が多すぎる。キャンパスですれ違っても声をかけてくる学生はごくわずか。あいさつや立ち居振る舞いなど人間としての基本が、経済や合理性追求の中で壊れてしまっている」「論理的に優れていたとしても人間として成長していない」…。嘆きは続く。猛スピードで突進する社会に流されてはいけない。日本の文化や伝統をきちんと身に付けていなくては、国際交流の場でも外国から尊敬されるはずがない-そんな話も出た。
 これを聞きながら、学力アップも大事だが人間性を作る家庭の力に磨きをかける大切さを痛感させられた。2つの「力」は同時に養えるはず、とも思う。
 学校では来週から新年度。我が家ではどうだろうか。ちょっと不安だ。「勉強しろ」と言う前に、自身の日頃の言動が子供にどう伝わっているかを考えてみたい。心身ともにフレッシュアップして新たなスタートを切りたい。(南保)


最近のバックナンバーに戻る