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群馬交響楽団は今春、高関健音楽監督が今年度末の任期満了時に退任すると発表した。「群響=高関さん」と思っていただけに衝撃的だった。就任翌年の94年、プラハの春国際音楽祭など初の海外公演を成功に導き、95年には県人口200万人記念映画「眠る男」の音楽を担当。定演では常に新しい曲を取り入れ、レパートリーの充実を図ってきた。群馬の音楽界に与えた功績は計り知れない。
高関さんが音楽監督として指揮を執るのも残りわずかと知り、22日の定演に足を運んだ。2千近い客席はほぼ満杯。高関さんが指揮台に立つと、空気がピンと張り詰めた。指先から紡ぎ出される音は、時に激しく時に繊細で、聴衆の心に深い感動を刻み込む。優雅な調べに包まれた会場は、拍手が鳴り止まなかった。
演奏後、ロビーに現れた高関さんを聴衆が囲んだ。「追っかけが出来なくなると思うと残念」「1回1回、かみしめながら聴いています」?若い女性から年配の男性まで、熱烈なファンが多いことに改めて驚いた。「新たな挑戦を始めたい」。熱い思いを胸に、来春、群響を退任する高関さんが今年度の定演へ登場するのは、10月と来年2、3月の3回のみ。ファンならずとも必聴だ。(中島)

普段の生活では気付かないことがたくさんあり、話を聞いてみると「へえ」と思うことがよくある。
街路樹を管理するある公務員によると、「木の枝が伸びた。切って」「鳥が巣を作り、朝晩の鳴き声がうるさい。取り除いて」「虫がわいた。消毒を」「落ち葉がすごい。片付けて」など様々な要望が寄せられるという。イチョウの落ち葉は腐りにくいため、清掃に精出す市民から「他の木に植え替えて」などの注文もあるし、「消毒を」と言われても、最近では環境や健康面から薬剤を慎重に選ばないと大変なことになる。
このため植樹の前には地元住民の意見を聞くとともに、手入れが比較的簡単な樹種を、理由を添えて提案するという。役所にとっては財政難の折、預かった大切な税金を有効に使うために、維持管理費を少なく抑えたいからだ。
環境保護に熱心な知人は「街路樹は排ガスに強い樹種が選ばれがちだが、弱い樹種で排ガスの環境への負荷の大きさを知るべき」という考えを持つ。
車のハンドルを毎日握る身にとって、コンクリートやアスファルトの中に浮かぶ緑は清涼剤だが、樹種を巡って様々な思いがあるのを知り、社会の面白さを再認識した。(南保)

先日、東京へ行った際、友人に尋ねられた。「沼田城って行ったことある?」
突然の質問に驚きつつも、行ったことがないと告げると、「ダメだよー。群馬に住んでいて、あそこに行かないなんて!」と、あきれられた。
聞けば友人は熱狂的な戦国時代の“城マニア”。しかも復元された城ではなく、石垣や堀などが当時のままで残る城址が専門という。遺構を眺めて天守閣や櫓など、城全体をイメージすると気持ちが安らぐらしい。
当方は歴史に疎く、群馬県民でありながら沼田城のことは知識がない。恥をしのんで、友人にレクチャーを受けることにした。
断崖上に築かれた五重の天守であったこと、関東最北の要衝で上杉、後北条氏、武田氏による争奪戦が行われたこと、利根川対岸には山城・名胡桃城があり、そこが豊臣氏の小田原征伐の原因となったこと…。講義は1時間にも及んだが非常に興味深かった。
早速、沼田城址に足を運んだ。講義を思い出しながら周辺を散策。古城に思いを馳せた。帰宅後、友人に報告すると「あの断崖の上に立つと、戦国武将になった気分だよね。さて、どう攻める?」と言われた。城マニアへの道は、容易ではない。(伊藤)

ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ盛期ルネサンスの三大巨匠の一人ラファエロ。37年の生涯で多くの聖母子像を残したが、30代に描いた「小椅子の聖母」は最も愛されている作品の一つだろう。私もルネサンス絵画の中で一番好きだ。
先月、この傑作を見る機会を得た。フィレンツェのパラティーナ美術館に飾られた聖母子像は思いのほか小さかったが、あまりの美しさにめまいがした。頬をバラ色に染めほほ笑む聖母、大きな瞳が愛らしい幼子イエスとヨハネ。構図と色彩のバランスが見事で、まさに名画中の名画だ。
ダ・ヴィンチの遠近法やミケランジェロの人物表現などを取り入れ、「最も完成された美の規範」を作り上げたラファエロ。今でいうイケメンで、ローマ法王からは可愛がられ、女性にもモテモテだったらしい。愛されキャラの彼が描く世界は、穏やかで幸せに満ちている。「この聖母も恋人か?」。そんなことを想像しながら見るのも楽しい。
鑑賞環境も素晴らしかった。自然光が差し込む室内は明るく開放的。しかも、絵の前にはほとんど人がいない。お陰で心ゆくまで堪能できた。「完璧な美しさを備えた優美な聖母子像」に、いつの日かまた会いに行きたいと思う。(中島)

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