朝日ぐんまって?
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コラム 
上州日和
上三原田の人々 [12月28日号]

 今年も残すところわずか。07年の上州日和も書き納めだ。毎回ネタに頭を悩ませるが、最後は上三原田の人々の事を書こうと決めていた。出会いは2カ月前。渋川の上三原田歌舞伎舞台で開かれる全国地芝居サミットの事前取材だった。
 舞台では約50人が桟敷を造っていた。大きな公演のみの設置で普段は目に出来ない。竹で組まれたアーチ型天井の美しさとスケールに度肝を抜かれた。「この人たちタダ者じゃない」。がぜん興味がわき、以来週末ごとに現場へ通った。
 桟敷造りの伝統技も素晴らしかったが、それ以上に凄かったのが祭りにかける男衆の心意気。「一銭にもならないが、来た人が感動してくれたら十分」―リーダーの言葉にシビレタ。10〜80代まで年齢も性格もバラバラだが、皆さん気さくで話し好き。作業の苦労話から昔の武勇伝まで、色んな話を聞かせてくれた。
 地域のつながりが希薄になって久しい。だが、同地区には世代を超えた一体感があった。「桟敷造りで皆が一つの輪になった」。公演後に語った最長老の言葉が忘れられない。無償労働の対価に地域の絆を手にした上三原田の人々。彼らから実に多くのことを教えてもらった。そんな出会いに深く感謝したい。(中島)


物産展 [12月21日号]

 デパートや祭りをはじめ各種イベント会場での物産展が盛んだ。
 消費者にとっては、イベントとともに多様な味も1カ所で試せて楽しみが増した。半面、生産者側としては地域間やメーカー間競争は激しさを増すばかり。知事が先頭に立って「我が県の特産をよろしく」とセールスする時代になり、各ブースは売り込みに躍起だ。
 比較的高級な加工食品を生産・販売する、県内のある業者が嘆く。「自治体から出店要請が来る。当方は、どんなイベントなのか、どんな客層なのかを見極めないと出店できない。だって出店費は取られるし荷造りの準備や販売員の人件費もかかる。揚げ句に商品にマッチした客層でないとサッパリ売れない。赤字にもなる」「でも自治体の担当者は強引に『とにかく出店を』とねじ込んでくる。『ブースが埋まれば自分の仕事は終わり』と思っているとしか考えられない。自治体からの要請にうかうかとは乗れない」
 自治体運営に経営感覚が必要となり、住民への対応がひと昔前に比べ格段に向上した、と筆者は感じていた。しかし、この業者の嘆きを聞き「職員の末端までは、経営感覚はまだまだ浸透していない」と再認識した。(南保)


祝・出版 [12月14日号]

 友人が本を出版した。大学卒業後の約6年間、大企業と言われる会社に勤めていたが、目指すべき道を見つけて退社。周囲の猛反対を押し切って、上京した。
 まさにゼロからのスタート。“文字”を生業とした最初の仕事は、パソコンがなかったため、携帯電話をワープロ代わりにしてメールで送った。日々、数字が減っていく預金通帳を眺めながらも、夢を温め続けた。苦しい生活ではあったが、後悔はまったくなかったという。
 退職から3年。会社員時代から趣味で集めていた資料やデータと、上京後、日本全国を飛び回り取材した情報を組み合わせて、彼にしかできない本を完成させた。気付けば、その「道」で彼の存在を知らない人はいなくなっていた。
 先日、その本を見せてもらった。1ページ1ページには、3年間の努力が詰まっていた。夢という言葉は、想像以上の力を彼に与えていた。
 友人の勇気ある行動に心から拍手を送る一方で、自分自身のふがいなさを痛感した。自分は、この3年間で成長しただろうか。夢を置き去りにした自分には、途方もない虚無感が襲い掛かってきている。(伊藤)


インド大地の布 [12月7日号]

 インダス文明発祥以来、5千年に及ぶ染織の歴史を持つインド。伝統の美を誇るインド染織品を紹介する「インド大地の布展」(20日まで)が、東京の日本民藝館で開かれている。民藝運動の提唱者・柳宗悦が創設した同館には、約400点が並ぶ。いずれも、民族染織研究家の岩立広子氏がインドの村々を巡り収集したものだ。
 鮮やかな刺繍を施した婚礼衣装、精緻な刺し子で埋め尽くされた男性用小物入れ、魔よけ用のミラーを散りばめた子供服、動物のアップリケで覆われた壁掛け、幾何学模様を配したラクダの腹帯。高い美意識や遊び心、家族や動物へ愛情が注ぎ込まれた布は、眩いばかりの光と色にあふれている。地域ごとの生活に根ざした文様や織りは多彩で、質量共に見応え十分。
 同展に合わせ、インド全域の布の写真や手仕事と風土に関するエッセーが収められた「インド大地の布」(求龍堂)が出版されているが、ビジュアル的に素晴らしいだけでなく資料的にも貴重な一冊になっている。桐生在住のテキスタイルクリエーター新井淳一氏も一文を寄せている。展覧会と写真集、共に一見の価値あり。インドの布に限らず染織全般に興味のある人にもオススメだ。(中島) 


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