朝日ぐんまって?
朝日フォトコン
コラム 
上州日和
社会勉強 [6月20日号]

 大学時代、上野のアメヤ横丁の物産店でアルバイトをしていた。知人の紹介を受けてあいさつに行ったその日から、乾物やらベーコンやらを持たされ、年末の人込みへ放り込まれた。「全部、売り切ったら今日の仕事はおしまいだ」。偶然にも県内出身だった初老の店長は笑いながら、過酷なノルマを言いつけた。すべての商品がなくなったのは店がシャッターを半分下ろした時だった。店へと戻り報告すると「お前は『売り子』が向いていないから、明日からは奥に入れ」と、言い渡された。
 翌日の店内はまさに“戦場”だった。数の子、筋子などの正月食材が飛ぶように売れるため、パック詰めが間に合わない。その合間をみて、重さ30kg以上もある解体マグロを2階の冷凍庫から店頭のせり台へと運ぶ。午前6時から午後11時過ぎまで、休みなしで働かされた。最初の2、3日間は逃げ出したいと思っていたが、結局、卒業するまでの3年間を世話してもらった。アメ横で生き抜く人たちのたくましさに、ひかれた部分もあったように思う。
 過酷な労働により発症した肩こりはその後、自分の持病となったが、何事にも変えられない貴重な社会勉強をさせてもらったと思っている。(伊藤)


事故の教訓 [6月13日号]

 「ドッスン」。先月夜の帰宅途中、すさまじい音と共に鈍い衝撃に襲われた。「何事!」一瞬、訳が分からなかったが程なく状況が把握できた。後続車に追突されたのだ。路肩に車を止め、運転手に詰め寄った。
 「すみません、本当にすみません」。蒼白の中年女性は頭を下げ謝罪の言葉を繰り返した。警察を呼んでもらおうとしたが、「警察って何番ですか」。文句のひとつも言ってやりたかったが、あまりの動揺ぶりにその気も失せてしまった。原因は彼女の脇見。お互い目立ったケガがなかったのが不幸中の幸いだった。
 病院への通院や代車の運転、保険会社とのやりとりなど、事故後の数日は慌ただしく少々気が滅入った。とはいえ悪いことばかりでもない。以前に比べ随分、運転が慎重になった。車間距離を詰めたり、携帯の着信音に気を取られたり、地図を見たり、運転中の何気ない行為が事故に繋がりかねないと気付いたからだ。
 今回は被害者だったが、いつ逆の立場になるか分からない。事故のリスクを減らすには「これくらいなら大丈夫」という自分本位の考えを捨て、ルールを守り「思いやりのある運転」を心掛けるしかないだろう。今回の事故は、そんな教訓を与えてくれた。(中島)


ポレポレ [6月6日号]

 夢や目標があっても、実現するまでに迷ったり悩んだりすることはよくある。
 5月7日にNHKで放映された「アフリカ縦断114日の旅」(後編)を見た。アフリカ大陸をトラックで縦断するツアーを追う。世界各国から20人が参加し、宿泊のほとんどはテントで自炊、トラックが砂に埋まれば全員で押すという体力勝負の行程だ。
 何人かは大陸最高峰のキリマンジャロ(5895m)登山にチャレンジする。頂上にたどり着いた男性が言った。「素晴らしいよ。(苦しくて途中)登ることに意味があるのかと何度も悩んだ」
 キリマンジャロならずとも山登りは予想以上に道が険しいこともあるし、天候が急変したり頂上が見えず途中であきらめたくなることも。番組での登山ガイドは「ポレポレ」(スワヒリ語で「ゆっくり」)とアドバイスしていた。
 人々を乗せたトラックは114日間を走り抜け、終点の喜望峰に着く。参加者の1人はテレビスタッフに「旅に出ようか迷っている人にどうアドバイスするか」と問われこう話す。「とにかく楽しいから行けって言いますね。行くべきだと。旅に出て、自分で行動することで見えてくるものがある」(佐藤)


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