朝日ぐんまって?
朝日フォトコン
コラム 
上州日和
おいしい一冊 [9月25日号]

 ナシにブドウにリンゴに洋ナシ-果物のおいしい季節がやってきた。県内にはたくさんの果樹園がある。県内最大のナシ産地、高崎市下里見町の富久樹園もその一つ。くだもの街道と呼ばれる国道406号線沿いにある同園は、ブルーベリーや桃など約10種類を直売する。が、他の店とちょっと違うのは果物のPR誌も作っているところだ。
 「果物を作りながら、日々感じたことを伝えたい」という園主・富沢登さん(50)の思いから生まれた「里見通信」(150円)は年1回、初夏に発行。果樹情報から里見フルーツ団地の現状、果物スイーツレシピ、作家のコラムまで、扱う話題は幅広い。同園で配布しているほか前橋の煥乎堂でも販売している。
 最新号では、ナシの花粉採りなどを特集。剪定
や人工交配など、普段なかなか見られない作業がカラフルな写真と共に紹介されている。このほか、同園オリジナルフルーツかき氷の誕生秘話など食欲をそそる旬の情報がギッシリ。
 編集するライターの岩井光子さん(37=高崎)は「年1回、果物を育てるようにゆったりしたペースで作っています」と笑う。生産者と編集者の愛情が伝わってくる、ぜいたくで何とも「おいしい一冊」だ。(中島)


ニーズ [9月18日号]

 どこの中心商店街も“シャッター通り”と言われて久しい。にぎわいの復活を目指して奮闘する住民や役所担当者は少なくないが、なかなか結果に結びつかないのが現状だ。
 母から「くるぶしが緩い靴下を買ってきて」と頼まれて洋品店へ出かけた。店は中心市街地のさらに真ん中にあり、ご主人とは10年ほど前からの知り合い。「市街地活性化を」と活動の先頭に立つ一人だ。
 店はごったがえしている。ほとんどが高齢者。「やぁ、○○さん元気だった?」「今日はいい天気だねぇ」などのあいさつが飛び交っている。多くがこの店に昔から通う近所の常連さんと見られる。
 ご主人に聞くと「いえ、結構遠くから、中には娘さんの車に乗せてもらって県外から来るお客さんも多いんですよ」という。さらに「南保さんが買いにきた靴下は、どこの量販店にもないんですよ」という。どうやら量販店の若い店員では、客のニーズに合った「緩さ」の度合いをつかむだけの意識も知識もないようなのだ。「だからウチに来てもらえるんだよね」と彼。
 商店街ぐるみでニーズを正確に知り、客が喜ぶ品ぞろえや店づくりをすれば、活性化は出来るはず、と思った。(南保)


バイキング [9月11日号]

 今週号の1面特集の取材で、前橋市の「呑竜マーケット」に通った。居酒屋などが並ぶ昔ながらの“横丁”。その存在は知っていたがこれまで一度も足を踏み入れたことはなかった。
 「仲間が呑竜で店を出すから行ってみて」。知人から、そう教えてもらったのが始まりだった。恐る恐る足を運んでみると、通り全体が醸し出す独特の雰囲気にハマった。小料理や焼き鳥店に混ざって、オシャレなカフェやウナギ店が軒を連ねる。聞くところによると、最近は店が増え出しているという。
 ブームとまではいかないが、何かが動き出している。そう感じて、早速、取材を始めた。通常取材の場合、事前にアポを入れて出掛けるが、呑竜では夜な夜な“飛び込み”で暖簾をくぐり、話を聞かせてもらった。
 どの店も4〜5坪ほどの店内に個性と人情があふれていた。全国展開のチェーン店が増える中、呑竜の雰囲気はまさに地域オリジナル。店の看板は、店主の顔にほかならない。2年前から営業を行うヤギカフェ店主は「いろんな“味”の店が集まったバイキングみたいな感じです」と呑竜を表現した。また、バイキングを楽しみに行こうと思う。(伊藤)


分かれ道 [9月4日号]

 温かいお茶のおいしい季節になってきた。緑茶、紅茶、ウーロン茶。全く違った味わいだが、元は同じお茶の葉からできていると聞いたときはびっくりした。摘んだ葉を熱処理や乾燥により発酵を止めると緑茶になり、中ほどで止めるとウーロン茶、そして完全に発酵させると紅茶になる。たとえ同じ木から摘まれても製造工程が違えば別物になるという。
 分かれ道は思わぬところにある。茶葉の分かれ道は発酵の度合い。でも日常の暮らしの中では、十分納得して道を選択することばかりではない。「あのときこうしておけば良かった」と後悔することもあるし、分かれ道があることすら気づかない場合もある。
 青々していた茶葉は「発酵」という違い以上に歴史や文化によっても違う飲み物になる。千利休の茶の湯があれば、ウーロン茶葉が投資の対象にもなるという。
 新政権が誕生した。私たちは変化を求め分かれ道を歩み始めた。貴族階級から庶民の日常の飲み物へと浸透したお茶のように、当選議員には政党、信条にかなりの違いはあっても、それぞれが国民に納得いくよう、深くおいしい味わいとなるように真剣に努力してほしい。(谷)


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