朝日ぐんまって?
朝日フォトコン
コラム 
上州日和
深呼吸 [11月27日号]

 先日、メジャーリーガー・イチローの9年連続200本安打達成の手記を読んでいて興味深い話に遭遇した。プレーを見たことがある人なら、すぐに気付くことだがグラウンドでの彼は表情がない。それに対して「感情を表に出して損することはあっても得することはない」と話していた。
 それを読んで少し考えさせられた。これまで何度、感情をあらわにして失敗をしてきたことか。喜怒哀楽を抑制することが必ずしも良いとは思わないが、感情をストレートにぶつけて後悔することは多々ある。特に「怒」の場面だ。損得で考えればイチローの言葉に納得がいく。
 仕事に限らず社会生活では、何かと“摩擦”は生じてくるもの。景気回復の兆しはなかなか見えず、そんな社会の“ストレス”も知らないうちに心にたまっていく。これから年末が近づき、せわしない毎日が続けば、ついつい感情的になってしまうことも増えるかもしれない。そんなときは、わき上がってくる感情をグっとこらえて一度、深呼吸してみようと思う。(伊藤)


雑読のススメ [11月20日号]

 本好きには1冊をじっくり読む派と、色んな本を手当たり次第読む雑読派に大別できると思う。私は後者。部屋には絶えず数冊の本が散乱している。ちなみに今、読みかけの本は7冊だ。美醜とモテ問題をつづった中村うさぎ「美人とは何か?」、今をトキメク勝間和代が訳したフィリップ・マグロー「史上最強の人生戦略マニュアル」、桐生が生んだスターの人生に迫った桑原高良「初代コロムビアローズ」など著者も分野もバラバラ。
 読み方が雑になり内容をじっくり味わえない、いや多分野を広く浅く知ることができる?雑読には良い面も悪い面もあろう。が、私にとっては自分を知るための重要なバロメーターになっている。
 性格の傾向はもちろん、現在何に関心があり何に不安・不満があるのか、どう生きていきたいのかなど、薄ぼんやりとだが己の欲望に気付かせてくれるからだ。キレイになりたい、モテたい、デキル人になりたい、といった具合に。
 それだけではない。喜怒哀楽、日替わりで手にする本は、その日の気分まで教えてくれる。「何だか自分のことが良く分からない」?そんな悩みをお持ちの方は、試しに気になる本を片っ端から読んでみてはいかがだろうか。まあ、己の欲望や気分が分かったところで、悩みや問題が解決する訳ではないが…。(中島)


業界用語 [11月13日号]

 狭い紙面に多くの情報を読みやすく盛り込む?は、編集者として大きな課題だ。その一つに、カタカナ語をいかに短い日本語で表現するかがある。野球で言えばホームランは本塁打、タイムリーヒットは適時打といった具合。
 自動車販売会社の広報担当者とモデルチェンジの話題になった。クルマは、改良の規模により「フルモデルチェンジ」「マイナーチェンジ」「一部改良」の3通りあるという。担当者いわく「販売車種がマイナーチェンジしたんですが、新聞記事で『一部改良』と報じられちゃったんです。これって業界では“間違い”なんです」。
 知らなかった。自身も記事や見出しで字数を減らすために、カタカナを漢字で表現するケースはよくある。一方で、専門記者でなければ知らない用語はたくさんある。前出の記事でも記者は「マイナーチェンジ」と「一部改良」の違いを知らずに書いたのだろう。
 担当者に「では『部分改良』ならどうでしょう?」と聞くと、一瞬の間を置いて「それなら問題ないですね」。
 安易に簡略化することの怖さとともに、一般には知られていない専門用語の難しさを再認識させられた。(南保)


未完成 [11月6日号]

 彼の曲は、聴いたことはあるが熱狂的なファンではなかった。先日、時間が空いたので興味本位で映画「THIS IS IT」を見に行った。ロンドン公演目前の6月下旬に急逝したマイケル・ジャクソンのリハーサルを編集した作品だ。
 プロデューサーが「世界の才能の集結」と表現した公演には、世界中からダンサーや音楽家が集まった。彼らは「インスパイアー」(感動させる、呼び起こす)という単語を使ってマイケルの魅力を語っていたが、その言葉通り映画の冒頭から、“天才”に思いっきり惹きつけられた。
 ドキュメンタリーのため物語があるわけではない。リハの映像が名曲に合わせて次々とスクリーンに描き出される。「I WILL BE THERE」にはウルッときたし、「スリラー」では胸の鼓動が止まらなかった。終盤の「HEAL THE WORLD」では、独特の世界観に浸かっていた。
 音楽、ダンス、アート、ファッション、映像、デザインなどすべてにおいてクリエイティブな“ライブ”に圧倒された。一言で表現するとシビれた。公演は行われなかったため創作途中の未完成なライブだが、だからこそマイケルの真の姿がにじみ出ていた。(伊藤)


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