朝日ぐんまって?
朝日フォトコン
コラム 
上州日和
善意のタスキ [1月22日号]

 先日、都内で開かれたピアノコンサートに出掛けた。余韻に浸りながら新幹線で帰ってきたら、車内に財布を置き忘れた。駅員さんに座席位置を伝え、車掌さんに連絡を取ってもらった。
 祈るような気持ちで返答を待ったが、10分後に掛かってきた電話は「すみません。ありませんでした」。現金は少なかったが、カードや免許証などすべてが入っていたので目の前が真っ暗になった。
 だが落ち込んではいられない。カードの差し止め、交番への届け出…、やるべきことは多い。やるせない思いであちこちに連絡を取ろうとした矢先、駅から電話を受けた。 
 今度は、吉報だった。乗客が車内で拾って終着駅の改札に届けてくれたという。あきらめていただけに喜びは大きかった。拾ってくれた人にお礼をしたい旨を駅員さんに伝えると、その人は「そういうのは結構です」と立ち去ってしまったそうだ。
 せめてお礼の言葉だけでも伝えたかったものの、それもかなわない。恩返しができないのは残念だが、自分が預かった“善意のタスキ”をほかに人に届けることで、この恩を返したいと思う。 (伊藤)


見逃せない [1月15日号]

 誰でも幼い頃、夢中で読んだ絵本があるのではないか。私のそれは「かいじゅうたちのいるところ」。気付けば随分大人になってしまったが、この名作は今も本棚の片隅にある。実写映画化されると聞き、久しぶりにページを繰ってみた。黄ばんではいたが、セピア調のしゃれた色合いは当時のまま。
 いたずら盛りの少年マックスが船に乗って、かいじゅうたちのいるところへ行き、彼らの王になって帰ってくるというシンプルなお話。が、その豊かなファンタジー世界にグイグイ引き込まれてしまう。大暴れするマックスとかいじゅうたち。愛らしかったり間が抜けていたり、その表情が実にいい。
 圧巻なのは数ページにおよぶ「かいじゅうおどり」のシーン。言葉は一切無いが、マックスのうなり声や、かいじゅうたちの足音が今にも聞こえてきそうだ。痛快なストーリーとダイナミックな絵、リズミカルな言葉?どれをとってもイカシテル。こりゃ、子供にとってもたまらないなと再確認した。
 映画公開は今日15日から。監督は「マルコヴィッチの穴」のスパイク・ジョーンズで、マックスの声を担当するのは加藤清史郎君だ。あの手ごわい主人公を名子役の清史郎君がどう演じるのか。これは見逃せない。 (中島)


雪道を行く [1月8日号]

 雪国育ちの筆者は雪が大好き。子供の頃は大人の苦労も知らず、ふわふわの雪の中で転げまわって遊んだものだ。
 暮れに仕事で北軽井沢を往復した。その日は下仁田あたりでみぞれが降りだし、軽井沢では今冬初の本格的な雪になった。途中、側溝にはまったクルマに3カ所で遭遇。1台目は警察官が出動して通過車両を誘導、2台目はレッカー車が作業中。3台目は救助待ち。「このまま見過ごしていいのか」との思いがかすめたが、こちらもシーズン当初とあってハンドル操作はおぼつかない。連続する緊張のなか、横目で見ながら通り過ぎた。
 雪道の運転は好きだ。さすがに下り坂のカーブは怖いが、あの緊張感がたまらず、雪道が終わると「ヤッター」と、ちょっとした征服感に浸るほど。雪国の皆さんから「雪と格闘する毎日なのに、のんきなことを」としかられそうだが本音だ。とはいえ、慣れは禁物。調子に乗って鼻歌など出ようものなら事故のもと。
 日頃は降らない県南部でも、これからは何度か白い世界になるはず。心してハンドルを握りたい。(南保)


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