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群馬に25年も住みながら、10カ所あまりの温泉にしか入っていない。県内209カ所もある“温泉王国”にいながら、である。
元来、風呂好きな方ではないが、20年前に入った沢渡温泉共同浴場をふと思い出し、タオル1本持って出かけた。前回は、効能を知らずに入ったが、肌の滑らかさが数日間も続き、感動した覚えがある。
300円払って引き戸を開けるといきなり脱衣所。ガラス戸越しに湯気と2つの浴槽、4人の客が見える。ゆっくりと何回も体に湯をかけ浴槽に沈む。「せっかく来たんだから5分で出るのはもったいない」と、3回ほど出たり入ったり。洗い場に腰を降ろしていると、立ち上る湯気が窓の日差しで見える1粒1粒が揺らめいている。日頃の慌ただしさを忘れるひとときだ。
脱衣所でタオルを使っていると、声をかけられた。「ここの湯が1番だね」。渋川から時々やってくるという50代。「あちこち行ったけど、指のけががすぐ治った」
もう1人が話に加わった。東京葛飾から春と秋に毎年湯治に来ているという60代半ば。「2、3泊して帰るんだ。ひなびた感じがいい。遊歩道を毎日15分くらい歩くんだ。いいところだね」
群馬に住んでよかった、を久しぶりに実感した。(南保)

今年から日記を書き始めた。
日記と言っても堅苦しいものではなく、その日に気づいたことや、読み終えた本や見に行った映画の感想などを書き留めるだけの簡単なものだ。
気になった新聞記事も張ったりして、早くも雑多な“ノート”になっているが、いつも欠かさずに持ち歩くことで、日々の行動に対して、多少だけど意識が変わってきた気がする。
日記をつづっていくことで一日があっという間に過ぎていくと感じるようにもなった。一日を振り返ってみて、何も書くことが浮かばないときは罪悪感というか、時間を無駄にしてしまったと後悔する。
過ぎゆく一日は、流れ落ちる水のようなものかもしれない。しっかりと手ですくっていかないと、そのまま流れて記憶の彼方に消えていってしまう。全部とまでは言わないが、そのうちのちょっとでもすくって、自分の心に留めておきたいと思う。
「いままでの自分を変えるために日記を始める」。初日に書いた最初の言葉だ。1年が終わったとき、自分が少しでも変わっていたら、いいなと思う。(伊藤)

いよいよ明日13日(日本時間)、バンクーバー五輪が開幕する。4年前のトリノ。早朝に眠い目をこすりながら、荒川静香の金メダル演技を見て胸を熱くしたのを思い出す。時がたつのは本当に早いものだ。
最年少のスーパー中学生高木美帆、5大会連続出場の岡崎朋美、45歳の大ベテラン越和弘、複合のイケメンエース小林範仁、夫婦そろって出場する上村愛子と皆川賢太郎、個人的に注目している日本選手はいっぱいいる。が、世の多くの人と同様、最も気になるのが浅田真央選手の活躍だ。
昨年末、五輪代表の最終選考を兼ねた全日本選手権では見事スランプを乗り越え、目の覚めるような素晴らしい演技を見せてくれた。お雛様のような顔立ちにスラリと伸びた手足。華麗なコスチュームに身を包んだ氷上の姿は、ため息ものの美しさだった。だが、彼女の魅力は演技だけではない。インタビューの受け答えにスケートへの真っすぐな思いが感じられ、さわやかな気分にさせてくれる。強さと可憐さを兼ね備えた、まさに一流のアスリートだ。
日本勢で最も金メダルに近いと期待されているだけに、プレッシャーはハンパじゃないだろう。が、最高のパフォーマンスで最大のライバル・キムヨナを制し、金メダルをぜひ勝ち取って欲しいものだ。 (中島)

暮れから正月にかけて父母が相次いで逝った。命に寿命があることは分かっていたが、「親」は、自分の先にいつまでもいるもの、と漠然と思っていた。でも、そうではなかった。
父の葬儀の日に1通の封書が届いた。応召して朝鮮半島で捕虜となり、シベリアで数年間の厳しい体験を送った戦友からのお悔みだった。
復員後、10年ほど経て、当時の小隊長以下三十数人が都内や県内で戦友会を毎年開いてきた。父にとっては年間を通して最大の楽しみで、伊香保や四万も会場になった。30年ほど前、戦地での体験を分厚い一冊にまとめて出版したことも。しかし、高齢化が進んで病気や没する人が次第に増え、戦友会への出席者は減り続けていた。最後は10人足らず。それも10年ほど前からは開かれていなかったようだ。
封書には、66年に及ぶ交友関係への感謝がしたためられ、「訃報に接し誠に残念…謹んでご冥福を…」と。短い文面ながら、1文字1文字に絞り出すような気持ちがにじみ出ている。文末の「合掌」の2文字に込められた万感の思いが伝わってきた。(南保)

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