エモい![11月9日号]

「伝統の踏襲は変革の連続」「各々が独自性を磨き高め合っていくしかない」「地域間競争ではなく地域間連携が大切」 先週号の取材中、渋川伊香保温泉協会の大森隆博会長が語った言葉の数々に何度も頷いてしまった。

今、渋川伊香保では榛名山麓などを舞台にした人気カーアクション漫画「頭文字D」と様々なコラボ企画を立ち上げ、地域おこしに挑んでいる。協会も、今夏から旅館やホテルで「頭文字D」オリジナルグッズ付き宿泊プランの提供を始めた。海外からの予約も多く、インバウンド誘致に力を入れてきた伊香保温泉にとって大きな効果をもたらしている。

漫画切手を制作した渋川市でも、先月からふるさと納税返礼品としての送付を開始。吉岡のおもちゃと人形自動車博物館も先月末、主人公の実家を屋外に再現したばかり。「頭文字D」を巡る地域の動きは活発だが、その先駆者といえるのが渋川でレーシングカフェ「ディーズガレージ」を営む岡田誠代表だ。

ガレージには漫画関連の車や商品がズラリ。「頭文字Dの聖地である地元に車好きが集える場を作りたかった。漫画や車で地域を盛り上げたい」 岡田さんの描く未来は可能性にあふれ、聞いているこちらも元気になる。

最近、SNS上で若者を中心に「エモい!」と言われている渋川伊香保。感情が揺さぶられた時に用いられる造語というが、地域というより活性化に関わる人たちこそが「エモい!」と実感した取材だった。

(中島美江子)