グンマーの度量[8月11日号]

ダサイタマ。1980年代、こう呼ばれた埼玉県の県議会一般質問で自民党議員が憤慨し、「嘲笑的な言葉が広まっている」と知事を問いただしたことが、ニュースになりました。毒舌でならしたタモリさんが、名古屋弁をネタにし、顰蹙を買ったことも記憶にあります。
30年余を経て、時代の雰囲気は変わりました。埼玉をとことんからかった80年代のギャグ漫画「翔んで埼玉」がネットで注目を集め、復刊されたのは2015年。55万部超のヒットになりました。今度は知事も「悪名は無名に勝る」と「ほめてくれた」そうです。
地方をいじる、最近はやりの言葉では「ディスる」作品がその地元で「ウケて」います。「翔んで…」は3割が、群馬を題材にした漫画「お前はまだグンマを知らない(おまグン)」も3割近くが自県内で売れたそう。公開された同名の実写映画は全動員数の7割が県内といいます。
群馬に暮らして1年余。「おまグン」には「あるある」と思わず膝を打つ場面も、新たに学んで「へーっ」と驚くことも。「チバ」から転校してきた主人公の視点は、転勤族の私のツボにはまります。
作者の井田ヒロトさんは、朝日新聞群馬版で4月から「ぐんまを暴け!カド戦記」を連載中です。主人公は、弊社の若手記者がモデル。群馬を掘り下げると同時に、「記者あるある」も満載です。記者の生態を笑い飛ばしつつ、読者の皆さんに記者を身近に感じてほしいと願っています。「おまグン」を愛する「グンマー」の度量がお手本です。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)