“佐藤惣之助”とは、、、?

企画展「夢よ、氷の火ともなれ 佐藤惣之助生誕130年記念展」

(右上)赤城の子守唄(楽譜)表紙(左上)萩原朔太郎と佐藤惣之助(下)会場風景

「♪ 六甲颪(おろし)に 颯爽と
蒼天(そうてん)翔ける 日輪の
青春の覇気 美(うるわ)しく
輝く我が名ぞ 阪神タイガース
オウオウ オウオウ
阪神タイガース
フレ フレ フレ フレ」

関西出身や野球好きの方のみならず、誰もがこの曲「阪神タイガースの歌~六甲おろし~」を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

現在、NHKの朝の連続テレビ小説「エール」で主人公のモデルとなっている作曲家、古関裕而が作曲を手がけたことでも話題になっていますね。また、この耳なじみのよいメロディーは、旋律のみならず、詞の良さも相まって、現在まで多くの人に知られる曲となっているのではないでしょうか。

この曲の作詞を手がけたのは、佐藤惣之助です。惣之助は、萩原朔太郎と同時代に活躍した詩人で、朔太郎の友人であり、義弟でもありました。1916(大正5)年に第一詩集『正義の兜』を刊行すると、次々に詩集を出版しました。

惣之助は多才な人物で、彼の文学的出発は、俳句でした。俳人の佐藤紅緑に師事し、俳句を学びました。それから、劇作家の小山内薫らと出会い、劇作も行い、自ら舞台に立ったこともあります。その後、詩作に転換しますが、詩だけではなく小説も書き、晩年には作詞家として「赤城の子守唄」や「湖畔の宿」、「人生劇場」といった歌謡曲も多く手がけ、各地をまわり民謡の研究にも取り組みました。

また、趣味人でもあった惣之助は、中でも釣りと旅を生涯愛しました。釣りに関しては何冊も随筆を刊行し、前橋出身の随筆家で釣り師の佐藤垢石との共著もあります。それを読むと2人は一緒に釣行へ出かけていることがわかります。

本展では、佐藤惣之助の生誕130年を記念して、〝詩人〟としての惣之助に迫りました。館内では、惣之助の詩集17冊のほか、句集、戯曲、随筆、直筆原稿などをご覧いただけます。さらに会場内にて「赤城の子守唄」や「六甲おろし」など、惣之助作詞の楽曲5曲を日替わりでお聴きいただけます。惣之助の多才な活動と先進的な思考、言葉の表現に是非、触れて下さい。

 

前橋文学館 学芸員
松井 貴子さん

渋川市出身。沖縄県立芸大卒、明治大学大学院修了。19年より前橋文学館に勤務。「榎本了壱「線セーション」展―私が出会った表現者たちII」(2019年)、「ドラマチックな重鋼!! 髙荷義之原画展」(2019年)を担当。

■前橋文学館(前橋市千代田町3・12・10■027・235・8011■9月27日まで■午前9時~午後4時半■水曜休館(休日の場合は翌日)■入館料一般400円、高校生以下無料■新型コロナウィルス感染防止対策のため、開館時間などは変更が生じる場合も。詳細は前橋文学館HPを参照

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