体験を通して自分や社会の新たな一面発見して(Vol.154)

みなさんは「身体表現」と聞いたらどんなイメージをしますか。身体の芸術、ミュージカルやダンスパフォーマンス、ライブコンサートなど、華々しい舞台を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。いずれも、魅力的ですよね。

今、私は演劇や音楽、パフォーマンスなど、身体表現に関わる人たちが集う集団「身体の人たち」の代表を務めています。身体芸術に親しんでもらおうと、ワークショップやトークイベントを開催する一方、多ジャンルのアーティストとの交流を通して新たな表現の可能性を追求しています。

一昨年の「身体拡張2018 公園デビュー」というイベントでは、美術館を身体表現者の公園(=解放区)に見立て、たくさんの来場者がお互い演者になったり観客になったりして楽しみました。

昨年の「前橋身体論 早春ゼミナール2019」では、アーツ前橋の木版画運動を扱った企画展に連動して版画教室を始め、街なか各所で演劇やダンスなどの市民向けゼミ講座を開講しました。

本年度は、「New―Tone(ニュートン)」というイベントでメンバーの持ち寄った企画を昨年10月から毎月開催したのですが、第1弾では自然との共生を語りながら40年以上、野糞を続ける伊沢正名さんに講演を依頼し、街なかで野糞は可能かどうかを談義しながら参加者と一緒に散策しました=写真。もちろん実際にはしませんが、そういう目線で街を見ると普段は気にしない建物の隙間や路地、遊歩道の植込など、細やかな街の魅力に気づきました。

また、石をおかずにご飯を食べる「おかず石」ワークショップでは石を消毒して口に入れ、様々な食感や味があることを知り、私たちが普段当たり前に行う食事という行為や文化について改めて考えるきっかけになりました。

ほかにもたくさん講座があり、いずれもユニークなだけでなく、体験を通して自分や友だち、街や社会の新たな一面を発見する大切さ、面白さがありました。今年度も身体芸術の普及を目指し、様々な活動を展開していきたいと思います。「今」を身体で考える「身体の人たち」を、どうぞよろしくお願いします。

 

「身体の人たち」代表
小出 和彦

【略歴】1967年前橋生まれ。高校時代より演劇を始める。劇団活動の他1996年前橋で市民とプロの協働作品「橋屋」で脚本演出を務める。近年は青山学院大学ワークショップデザイナープログラムを修了、大学などで演劇教育にも関わる。)