保険外のケアで[2月8日号]

直腸がんを切除し人工肛門を造った実弟は、この2年半で何度も腸閉塞を経験しています。いまや自分で予兆をとらえて食事や休養で工夫できるようになりましたが、初めは慌てました。とにかく痛い。痛がるのを見る家族もつらい。

初回は手術後の入院中。薬は効かず、詰まった便を取り除くだけの処置にいらだちました。診断と余命宣告から1カ月。痛みの管理も精神的ケアも不十分でした。知人の看護師に相談すると、腸マッサージを教えてくれました。主治医にことわり、温めたタオルで施すとキュルキュルと腸が動きました。

茨城の病院まで車で片道2時間半。週2~3回通うと、私が倒れそうでした。病棟看護師は体をタオルで拭いてくれるが、マッサージはしてくれない。不安な気持ちに寄り添う話し相手にもなってくれない。その余裕を失った近年の医療事情は分かります。

思い出して頼ったのが、看護師の有償ボランティア「キャンナス」です。医療保険や介護保険でまかなえないケアを家族の代わりに、という理念で、神奈川の菅原由美さんが始めたのは1997年。共感した各地の看護師たちが、難病児や障害者、高齢者の外出支援、在宅療養の手伝いなど様々な活動をしています。

123カ所目のキャンナスが今月3日に水戸で発足し、お祝いに駆け付けました。弟がお世話になった看護師が、仲間たちと立ち上げました。制度ですくいきれない、でも患者や家族にとって必要なケアはたくさんある。群馬でも同様の活動が広がれば、と願っています。

(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)