光景[9月27日号]

秋っていつですか? 愚痴も言いたくなるほど、日中は暑いです。週初めに週間天気予報を見たら、最高気温が30度を超える日が、まだありそう。気を抜かずに頑張りたいと思います。

先日、とても気持ちのいい光景に出会えました。場所は前橋市にある体育館のトイレです(食事中の方、すみません)。体育館で剣道の大会が開催され、多くの小中学生らでにぎわっていました。パーンと竹刀がぶつかる乾いた音と、気合の入った声が響きます。試合前から熱気に包まれていました。

ひりひりした緊張感から逃げ出すように、トイレに入りました。横目に見えたのは、出入口付近ですれ違った剣道着の少年が、しゃがみ込んでしばらく何かをしている姿。そのときは気にとめなかったのですが、トイレを出るときに、びっくりというか感動でした。

何足もあるスリッパが、ぴしっときれいに横一列に並んでいるのです。うかつにはスリッパを脱ぎ捨てられない。別の緊張感を覚えながら慎重に、列を乱さないように、私の分も並べました。

試合当日は、勝ち負けのことで頭がいっぱいになりがち。そんな状況で、わかっていてもなかなかできないことじゃないでしょうか。「礼に始まり礼に終わる」。試合のときだけではないのです。勉強になりました。

安中市にある国の重要文化財「旧碓氷峠鉄道施設」のトンネルが落書きされました。神奈川県小田原市の「二宮尊徳(金次郎)生家」にも落書きがありました。誰も見ていないのをいいことに……。こちらは、とても気分の悪い光景です。

(朝日新聞社前橋総局長 熊谷 潤)