力強くシンボリックなポスターを体感して!

特集展示「グラフィックデザイナー 亀倉雄策」

㊧《東京オリンピック公式ポスター第2号》(1962年 フォトディレクション:村越襄、写真:早崎治)
㊥《東京オリンピック公式ポスター第1号》(1961年)
㊨《東京オリンピック公式ポスター第3号》(1963年 フォトディレクション:村越襄、写真:早崎治)

1964年、東京オリンピック。沸き立つ町中に貼られたポスターは、今なお多くの人々の記憶に鮮烈な印象として残っているのではないでしょうか。あるいは今、この紙面で初めてご覧になったという若い人も、この清澄な構成のデザイン、その力強い美しさにどこかデジャヴのような感覚をもたれたかもしれません。

「これは日の丸と考えてもいいが、本当は太陽という意識の方が強かった。それによって日の丸もモダン・デザインになりうると思った」とは、のちに亀倉雄策自身が書いています。当時、亀倉は日本人ならば誰もが見慣れた日の丸をテーマに1号ポスターを作成し、続いて2号、3号、4号ポスターと手がけていきました。オリンピックの公式ポスターに写真を用い、複数のデザインで制作したことはオリンピック史上初めてのことでもありました。

戦後日本のグラフィックデザインの礎を築いた亀倉雄策(1915~97年)は、東京オリンピック、大阪万国博覧会のポスターをはじめ、「Gマーク」「NTT」など日本を代表する企業のロゴマークも次々と手掛けたことで知られています。

当館が所蔵する亀倉ポスターは、桐生出身のテキスタイルプランナー・新井淳一(1932~2017年)旧蔵のものであり、氏との交友から亀倉は1995年当館に訪れ、初代館長・大川栄二(1913~2007年)とも歓談しています。

シンプルに徹し対象と深く向き合い、その本質を際立たせた亀倉のデザインは、企業やプロジェクト、日本社会や経済に対して、その方向性を示唆する影響力を持つものでもありました。美術の世界に新たな視点、新たな分野を開拓し、つねに第一線を先導してきた亀倉雄策、そして、財界人として日本の高度経済成長期を支えてきた大川とは、分野を超えて響き合う感性があったのかもしれません。力強くシンボリックなポスターの数々を大川美術館の展示室でぜひ体感していただけたらと願うばかりです。

なお、当館は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため4月9日~5月7日、臨時休館しておりましたが、当分の間休館を延長させていただきます。休館中はSNS上で「WEB展示室」と題し、亀倉展の様子をはじめ毎日、コレクションを様々な視点から紹介しています。どうぞご覧下さい。

 

大川美術館 学芸員
小此木 美代子さん

1993年より大川美術館に勤務。日本の近現代美術を中心とする展覧会に携わる。主要な担当展覧会に、「石内都展 上州の風にのって」(2009年)、「生誕100年 オノサト・トシノブ展」(12年)、「難波田龍起展 Tコレクションを中心に」(14年)、松本竣介展4シリーズ(18-19年)など

■大川美術館(桐生市小曽根町3・69)■0277・46・3300■一般1000円、大高生600円、中小生300円■午前10~午後5時(入館は午後4時半まで)■月曜休館(月曜祝日の場合は翌日火曜休館)