医師 須藤 暁子 さん

「子育ては子どもが生まれたとたんに、突然自分を『お母さん』に切り替えなければいけないのが大変なんだと思います」と語りかける須藤さん=都内の公園で

Dr.暁子の「読むおくすり」で育児母ちゃんたちを元気に!

6歳と4歳の男の子を育てながら、放射線腫瘍医として働く須藤暁子さん(35)。育児に仕事に奮闘する毎日を綴ったブログ「Dr.須藤暁子の読むおくすり」はピーク時、累計400万PVを突破するなど大きな反響を呼んだ。母親から「共感力最強」と言われる言葉の数々にシェアも続出。今夏に出版した3冊目の著書「なりたい母ちゃんにゃなれないが」(集英社)では、ハプニング連続で葛藤するリアル育児を綴り、同じく子育て中の「母ちゃんたち」を勇気づけている。スーパー母ちゃんに、最新刊やブログについて、育児や故郷・群馬への思いなどを聞いた。

なりたい母ちゃんになれない

Q3冊目の著書を出しました

中学の時から本を書きたくて、60歳になったら出版したいと思っていました。まず、ブログから始めようと結婚前の2009年頃から書き出しました。インターネットの時代もあり、おかげさまで出版がだいぶ前倒しになりました。ありがたいことです。

Q最新刊について教えて下さい

以前の2冊と違うのは、子どもではなくあくまでも自分をメインに書いたこと。今春、小学生になった長男のプライバシーを考えてのことです。最新刊でもブログでも大切にしているのは「最高にダサイ自分をさらけ出すこと」。みっともないところ、嫌いなところ、ずるいところ、汚いところを書くようにしました。失敗がたくさん、時々、晴れの「迷走育児録」になっています。

Qタイトルに込めた思いは

なりたい母ちゃんに」一生なれないからこそ、あえて付けました。「完璧で全てうまくいっている」と思い込んでいたら、その方が病んでいるかもしれない。家がきれいとか、ご飯が手作りとかではなく、子どもにとっての最高の母ちゃんは、「そのまんまの私」なんでしょう。笑ったり、泣いたり、怒ったりしながら子どもと一緒に成長していこうと思います。

読むおくすりに

Qブログが、ピーク時に累計400万PVを突破しました。

「Dr.須藤暁子の読むおくすり」と銘打って、自分が診察する患者さんや奮闘中の人など文章を読んでくれた人が、ちょっとでも元気になればいいな、とシコシコ書いています。数年間は毎日書いていました。「子育てに奮闘するアルアルの日々」を書くと、「共感した」とコメントをたくさんいただけるようになって、それが励みになり、書きたいことを投稿していましたね。

現在は一段落。更新頻度を上げたり、ギリギリの内容を書くこともないですし、アクセス数も気にしてはいません。「今の自分にしか書けないこと」を詰め込んで書いています。1人ではなく「みんな一緒」なのだと、伝えられたらいいですね。

Q著書とブログでは書く内容は違いますか

本は、わざわざ買っていただくので何か一つでも手に取ってくれた人に良いことがあるといいな、と思いながら本当のことを真剣に綴っています。自身も育児に困った時、「頼りたくなる本」でありたい。いざ読み返すと「何、このオカン、最悪だなあ、今の私の方がマシ」と感じたりもしますが(苦笑)。一方、ブログはある程度見られ方を大切にしています。オブラートに包んだ言葉もある。共感したり、ホッとしたりしてもらえたらうれしいですね。 ただ、どちらも悩めるお母さんにとって「読むおくすりになれば」という気持ちでやっています。

Q医師としての仕事が、育児の考え方にも影響していますか

幼稚園の頃、兄が転んで頭を割ってしまったのですが、それを医師がホチキスでパチンパチンと止めたのを見て、「すごい、医者になりたい」と思いました。人が倒れたとき、すぐにダッシュできるような人間になりたかったんです。それは育児にも通じる考えで、困っている人、助けを求めている人がいたら、直接診察しなくても、その人を元気にしたいですね。

人と比べないように

Q育児で心掛けていることは

2人の息子がいますが、育児はいつもギリギリ。不器用なんですね。もうドタバタで、未だに仕事と両立が大変で、思うようにいったことがありません。でも人と比べないように工夫しています。自分も子どもも、夫も洋服も家も、顔のシワや白髪も。いやになっちゃいますから(苦笑)。あと、習い事や勉強ばかり気にしすぎないように、遊ばせて、良く走らせ、夜早く寝かせています。所詮、自分の子だから、ある程度の所で諦めようと。子どもの後から付いていくようにしたいです。

Qママ友との交流は

実は、ママ友付き合いに関わらない時もありましたが、これまでに数人信頼できるママ友が出来ました。親同士、根本が似ていると、子どもが喧嘩しても、「いいよ」となる。子どもを遊ばせるため、ママ友を無理に作らなくてもいい。自分も好きな友達を見つけるから、子どもも自分の友達を選んでほしい。「遊びたいやつ見つけてこい」という感じです。

おなかに戻したい!が本音

Qお子さんの存在とは

別の人間と思いたいけれど、すごく興味があって、すごく大好きで、すごく思い通りにしたい。完全にストーカーです(笑)。カッコいいことを言っても、すがっているし、自分の人生を押し付けているのかも。本当にかわいくて、もう一度、お腹に戻したい!が本音です。

Q親になって何か変化がありましたか

両親の気持がやっと分かってきました。「こんなに心配していたんだ」、「何も言わないで、見守っていてくれたんだな」、「生意気だったな」。親にならないと親の心は分からないですね。親の心を知らなかった子ども時代を振り返っていますが、まだまだ親には近づけないです。

Q故郷群馬への思いを聞かせて

山や川など緑が多い。小さい頃は、川遊び、木登りをして遊んでいました。群馬に生まれたことが自慢で、風も強いけど大好きです。家族で帰省すると、出身の小学校の校庭などで、子どもたちに、「群馬って広いでしょう」って自慢しています。群馬は子育てにとっては抜群の環境ですね。あと、私のソウルフードと好きな場所を思い出しました。「雀のお宿(磯部ガーデン)」と「おぎのやの峠の釜めし」です。いまだに、ご褒美やお祝いはこれです(笑)。

Q子育て中の方にメッセージをお願いします

何があっても自分を責めないでほしいですね。自分や子どもが生きていること自体がすごいこと。お母さんっていう立場に正解もなければ、間違いもない。みんな一緒です。肩の力を抜いて、楽になれたらいいですね。

文/撮影・谷 桂

【医師】
【須藤暁子】 さん

【すとうあきこ 1983年群馬県生まれ。高崎女子高から大学医学部に進み、卒業後は大学病院に勤務。現在、6歳(小1)と4歳(年少)の男の子を育てながら、放射線腫瘍医として働く。育児に仕事に奮闘する毎日を綴ったブログ「Dr.須藤暁子の読むおくすり」が人気。著書「子育て奮闘中の母ちゃんドクターが書いた『男の子のママ』の悩みをぶっとばす言葉」(KADOKAWA)、「両立どころの騒ぎじゃない 男児2人を育てる母ちゃんドクターのフルスロットルな24時間」(同)は、子育てママの間で共感を呼び、話題に。今年7月には3冊目の「なりたい母ちゃんにゃなれないが」(集英社)を出版。雑誌「PHPのびのび子育て」にエッセイを毎月連載中。女性雑誌やエフエム群馬にも出演。東京都在住。】