君たちはどう生きるか[1月12日号]

正月はどのように過ごされただろうか。筆者は、おせち作りや大掃除の忙しい時ほど読書をしたくなり、休み中ずっと同じタイトルの2冊を携えて過ごした。題名は「君たちはどう生きるか」。雑誌「世界」の編集長で、明治から昭和を生きた故・吉野源三郎の児童文学で、1冊は岩波文庫、もう一冊はマガジンハウスの漫画だ。原作は80年以上前なのにみずみずしい存在感で両書とも現在、大ブレイク中。中学生の主人公コぺル君が、叔父さんと共に「人生をどう生きるべきか」について悩むという普遍的なテーマを扱っている。

読み進めるうちにコペル君から目が離せなくなり、実家に帰省した際も肌身離さず持っていた。すると、久しぶりに会った84歳の父が目を輝かせ、「あ、吉野源三郎の本だね。闘病していた45歳頃に読んで、吉野さんには随分と勇気づけられたんだ」と弾んだ明るい声で語ってくれた。

自分たち家族を抱えながら、脊髄の手術で何カ月も入院していた際に手に取り、人生を切り抜けてきたという。共通の本により会話が広がり、思いがけず若き父親の悩みや葛藤など人生の1ページを知ることになった。

昨年は仕事もプライベートも後悔の連続だったが、この本を読んだことで気分一新、新たな年を迎えられた。自分の頭で考えて一歩一歩進むことが大切だ。へこんでもまた起き上がればいい。20代の我が子や姪など次世代の若い人にも勧めたい一冊だ。

(谷 桂)