寄付文化の鼓動[3月15日号]

3月11日に東京文化会館であったチャリティコンサートに赴きました。売上金は、がん患者らの相談支援拠点「マギーズ東京」の運営費に充てられます。米国のバイオリニストらによる演奏は、発生から8年を迎えた東日本大震災の犠牲者への鎮魂曲から始まりました。

発祥地英国のマギーズセンターは、年数億円の経費をすべて寄付で集め、相談などにあたる看護師らは公的病院などと同じ給与待遇で働きます。英国で20カ所以上に広がりました。

マギーズを日本にも、と活動してきた現東京センター長の看護師秋山正子さんとは11年前、緩和ケアの現場を視察する英国研修で知り合いました。かの地ではホスピスも費用の大部分が寄付で賄われる。英国の「寄付文化」の大きさに驚き、語りあいました。

知り合った英国人に個人の寄付額を聞くと月5千円程度。自然保護や福祉、緩和ケアなど幅広い分野のNGOが寄付を元手に運営しています。だから寄付集めも真剣勝負。アイデアを絞ってイベントを展開します。団体は資金調達係を雇い、年間計画を立てます。

休東京でもそれに習い、パーティーやネットでの周知、マラソン参加など様々な挑戦をして2年余の準備をかけ、そして開設して2年半。今回、世界的な奏者を招くことができたのは日本音楽財団の協力あってのことですが、企画や演出、集客を担ったのは、マギーズ東京のボランティアです。2千人の大聴衆が美しく力強い演奏を満喫するのをみて、新たな寄付文化の鼓動を感じました。

(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)