展示空間と作品の関係 意識して観て

2013年に開催された「The rising generation 箱の中に見えるもの」の展示会場風景

「The rising generation 箱の中に見えるものvol.5」

「The rising generation」と題したこの展覧会は、渋川市の美術館が開館して3年目の2003年の冬から始めた企画展示です。毎年2人の作家にお願いして展示してきた本企画も、昨年末には18回目を開催することができました。選出した2人の作家には、共通点が有ったり無かったりしますが、一つの空間に2人で展示してもらうためには“ちぐはぐ”にならないように取り合わせるのが学芸員の腕の見せ所!!と言いたいところでありますが……ともあれ、18回も続けてこられたことは、引き受けて頂いた作家に感謝しかありません。

そして、この企画から生まれた「The rising generation 箱の中に見えるもの」は2013年にスタートしました。美術館では、企画展示で取り上げた作家に再びお願いすることはなかなかありません。何十年も経過すれば、また違った視点で依頼することもありますが、20年ぐらいの間では無いといっても過言ではないでしょう。それでも作家は創作活動を続けています。作家が創ることを諦めないのであれば、こちらも観ることを止めない……そして、再び美術館の展示室で作品と出会いたいと考えその実現に至ったのです。

衣真一郎「積み重なる風景」(2021年)

さらに、「箱の中に見えるもの」というテーマは、展覧会にある種の統一感を見出すためのアイテムとしてアクリルケースを用いることで生まれました。ケース越しに作品を観てもらうことで作品をより意識してもらうこと……作品は、そのものだけが作品という見方もありますが、作品が置かれている空間を含めて作品と考える場合もあります。箱の中の空間も併せて一つの作品と捉えたとき、展覧会で眼にする美術館の空間そのものも作品と強く関係していることを意識できるようになるのではないかと考えています。

今回の展示では、上野の森美術館で3月に開催された「VOCA展2021」に選ばれた衣真一郎さんの《積み重なる風景》や、昨年ドイツ留学をし帰国した永井里枝さんの《Night》など33人の作家の作品をご紹介します。是非、お出かけください。

 

渋川市美術館・桑原巨守彫刻美術館 学芸員
須田 真理 さん

すだ・まり/1972年生まれ。女子美術大学大学院修了。00年12月開館の渋川市美術館・桑原巨守彫刻美術館開設準備から携わる。現在、常設展や企画展などを担当

渋川市美術館(同市渋川1901-24)■0279-25-3215■4月29日~5月23日■午前10~午後6時(入館は午後5時半まで)■火曜休館(但し5月4、5日は開館、5月6日は休館)■入館料一般300円、中学生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料)

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