平和[8月16日号]

1945年の8月5日、前橋の市街地が焼け野原となりました。前橋空襲です。「ズシン、ズシンという防空壕の中まで衝撃音が響き、怖かった」。当時10歳だった前橋市の女性(84)は、74年前をそう語ります。「どんなことがあっても平和は守りたい」とも。

同じ年の8月6日、広島に原爆が落とされ、その3日後の8月9日、長崎にも投下されました。そして、8月15日に終戦。8月は平和を考えるために忘れてはいけない日が続きます。

残念ですが、戦争を体験した人たちは少なくなっていきます。戦争を知らない私たちに何ができるのでしょうか。やはり、「記憶」を少しでも多く残し、受け継ぎ、広く伝えることが大切だと思います。

先日、朝日新聞読者の方からおしかりを受けました。5日付の群馬版に前橋空襲の記事が載っていなかったからです。「80を過ぎた人間はいなくなるんだよ」。電話でそうおっしゃられたと聞いています。

前橋空襲については、当日の慰霊祭などを取材し、6日付紙面で大きく報じています。ただ、貴重な体験談を聞ける時間が短くなる中、「もっともっと平和について考えろ」というご助言でもあったのではないかと感じております。ありがとうございました。

日本と韓国の関係について、連日ニュースが流れています。「報復」「排除」といった言葉に気分が重くなります。市民の交流イベントが延期される悪影響も出ています。断絶と非難の繰り返しは、何も生み出さないのでは。

平和に思いをはせる8月なのに、嫌なニュースです。

(朝日新聞社前橋総局長 熊谷 潤)