年上キラーの話(Vol.17)

介護施設の良い所を聞き、アドリブでテーマソングを作って皆さんと熱唱

芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。

「自分ってこういう人間」「あたしはこんなタイプ」そんな思い込みが、あっさり覆される瞬間ありませんか? 今まで知らなかった自分との出会い。今回はそんなお話です。

先日、仕事で広島に行って参りました。広島と言えばカープ、原爆ドーム、もみじまんじゅう。色々思い浮かぶかと思いますが、今回の仕事は広島で活動するお笑い芸人主催のライブへのゲスト出演。その他、地元のラジオ出演、別のイベントへの出演なども合わせての、いわば広島ツアー。

そのツアーの中で、デイサービス、介護施設でのライブもやって来ました。初めての経験! 今までやった事のない場所でのライブ。やった事のない年齢層の前でのライブ。通常のライブでやってるのと同じ事やっても伝わらないな、と思い、やり方全部変えてみました。

『ステージと客席』で分けるんじゃなく『会場全部がステージであり客席』。ひとりひとりに話しかけ、ひとりひとりに歌いかける。そこにいる人たちの中に入って行く、名付けて『毒蝮三太夫スタイル』。70代80代の女性の方々中心だったので、曲もいつもと違い『夏の思いで』『みかんの咲く丘』『浜辺の歌』などの唱歌に加え、『瀬戸の花嫁』『川の流れのように』なども添えて。

最初のうちは戸惑っていた皆さん。歌っていくうちに会場のあちこちから歌声が聞こえ始め、最初は固かった表情も少しずつ明るくなって来ました。固く閉じたつぼみが、ほころぶみたいに。

曲の途中で演奏を止め「歌上手ですねー」と褒めてみたり、先に歌い出しちゃう人には「まだですよー、俺より先に歌わない!」とツッコミを入れたり。すると今度は笑いの花が! さらに表情はほころび、歌う事で血流が良くなるのか顔に赤みが増してきて、目の前のひとりひとりがどんどん若返って行くんですよ。ホントに。

おばあちゃんから女性の顔へ。見渡せばひとりひとり反応が違う。心から楽しそうに歌う人、ちょっと恥ずかしそうに歌う人、思わず声が出た自分にビックリしてる人。見てたらカワイイなーと思えて来ちゃいました。

今まで自分は年下好きだと思ってましたが、年上でも好きになっちゃうな。70代、80代でもときめいちゃうな。年上キラーだな。モテモテだな。と思えた瞬間でした。

施設のスタッフの方々にも喜んで頂き、こんな言葉をもらいました。「金谷さんのネタをネットで見て、正直『こんな過激な事やられたらどうしよう』と心配してたので、今日の盛り上がりを見て余計に感動しました」

心配させてゴメン。地獄のスナフキンも、たまには天国のスナフキンになります。。

金谷ヒデユキ

金谷ヒデユキ

安中市出身。フジTV「タモリのボキャブラ天国」にて「地獄のスナフキン」の愛称で親しまれた音楽芸人。現在は音楽活動、芸人活動の他、声優として「機関車トーマス」アニメ「けいおん」等にも出演。ツイッターのフォロワー募集中。