得意とニーズを繋ぐ[4月12日号]

「好きを仕事に!」 巷でよく聞く耳ざわりの良いフレーズ。自分自身も「何に興味があるのか?」と、自問自答しながら就職活動に励んでいた記憶がある。働き始めて25年。確かに「好き」は仕事をする上で重要だが、そこに執着しすぎると痛い目に合う。

先日、藤岡出身の漫画家・千葉侑生さんを取材しながら、その思いを強くした。学生時代、千葉さんは賞金欲しさに漫画コンテストに応募。見事入賞し、漫画家人生をスタートさせる。現在、集英社の雑誌アプリ「少年ジャンプ+」で「ドリキャン!!」を週2回連載中だ。

「漫画が大好き」と思いきや応募するまで全く興味がなく、描いたことも読んだこともなかったという。とはいえ、小さい頃から絵は得意。話を聞いていくと、高校時代に熱中したバンド活動では演出力や表現力、理系大学では課題を探究する力やニーズの分析力などを積んでおり、漫画を描く上で必要なスキルは既に十分身に付いていたことが分かる。

「好き=得意」と思いがちだが好きでも苦手なことはあるし、得意でもニーズがないものも多い。頭で理解していても、いざ自分のことになると仕事に好きを持ち込みがち。すると、どうしても独りよがりになってしまう。

新年度が始まり、あと半月程で「平成」が終わり「令和」が幕を開ける。千葉さんの冷静なスタンスを見習い、「好き」に溺れすぎず、「得意なこと」とニーズを繋ぎ、新しい時代の波に乗っていきたいと思う。

(中島美江子)