権利を行使する[10月20日号]

玉村町の選挙管理委員会から14日夜、投票用紙の交付ミスがあったと発表がありました。最高裁判所の裁判官をチェックする国民審査の用紙です。海外に住み一時帰国中の女性が、かつて住んでいた町の役場を訪れて衆院選の期日前投票をすませた際、対象ではない国民審査も渡してしまったそうです。

在外邦人は、申請して在外選挙人名簿に登録されると、国政選挙で郵便投票などができます。海外在住の日本人50人余が国を相手に訴訟し、1998年から認められるようになりました。当初は比例区のみで、再び訴訟。2007年から選挙区にも拡大されました。

調べると、国民審査についても訴訟が起こされ、東京地裁は11年、在外邦人が投票できないのは憲法に照らして「重大な疑義がある」と言い渡しています。残念ながら改正はまだありませんが、闘いを重ねて権利を獲得していることは、国政選挙の例からも明らかです。

在外選挙人登録は申請手続きも煩雑で、郵便などでは投票期間も短くなります。登録者は昨年9月現在で各国に計10万人余。急な解散総選挙なのに、登録証を携えて帰国していた、くだんの女性の意識の高さに感動します。

翻って日本に住む私たちは、入場券を持って投票所に赴くのみ。かつてと異なり、期日前投票も容易になりました。前回14年の衆院選投票率は、過去最低の52・66%。せっかくの権利を大切に行使したいものです。紙面の候補者アンケート、弊社と東大の共同調査(http://t.asahi.com/nx6d)が投票の参考になると幸いです。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)