空っ風の恵み[12月22日号]

のどの渇きで目を覚ます季節です。カーテンの隙間から漏れる日差しで肌が痛いことも。「赤城おろしで北向きの玄関ドアが開かない」「小柄な人は飛ばされる」「雪は降らずとも、山を越えて風と一緒にやって来る」。まさか、冗談でしょうと赴任当初はいぶかった逸話を、いまは自分が熱弁しています。

群馬名物空っ風にまつわる話題は豊富ですが、肌の乾燥が気になる年頃だけに、化粧品会社が発表する美肌県グランプリは注目です。群馬は過去6回のうち4回で最下位。肌荒れの原因にはストレスや生活習慣もあるとはいえ、前任地からの送別で美容液を頂いたほど。群馬の気候はかなりの知名度です。

その乾燥と寒さを生かせないかと昨冬、白菜漬けに挑戦しました。漬物だると重石を求め、レシピを見ながら天日に干し、塩や唐辛子を加え…。家族には好評で、2度追加しました。今年は干し柿。晩秋に旅した北毛で、古民家の軒先につるされた柿のすだれに見ほれました。帰途に道の駅で渋柿を見かけ、衝動買いしました。

コーヒー豆がしけらず、ふっくらとドリップできるのも、群馬に住んでからの幸せポイントです。長い日照時間や低い湿度を利用して伸展した農業や木材加工は、空っ風の恵み。生産量全国一のこんにゃく芋の干し棚について教えられた時は、膝を打ちました。

我が家のベランダにはエノキ、大根と干し物が増えています。年末年始には、かびなく干し上がった柿をいただきつつ、空っ風を逆手にとった新たな恵みについて考えたいと思います。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)