終戦から72年目の夏。「戦争とは何か?」問う6作品(Vol.66)

小津安二郎監督「麦秋」©1951 松竹株式会社
小津安二郎監督「麦秋」©1951 松竹株式会社

高崎電気館は1913年(大正2年)に開館した高崎初の映画館です。途中12年程の休館を挟んだものの、2014年に高崎市の施設として再開。今年で開館104年目を迎えました。日本全国でみても現在営業している映画館の中で2番目に古い歴史を持ちます。再開は地元の皆さまの後押しと、休館中も映画館を大切に保存してくださったオーナーとの思いが重なり実現しました。

再開後は伝統的な映写機を使った35㎜フィルム上映にも力を入れ、かつて高崎電気館で大入りだった「男はつらいよ」シリーズ、市川雷蔵特集、角川映画特集などの懐かしの名画を中心に特集し、好評をいただいています。また、地域で作られた映画も積極的に紹介しています。

104年間、この場所で多くの方に愛されてきた高崎電気館。記録には太平洋戦争の終戦から一週間後には、映画上映を行ったとあります。建物が戦災を免れたことも大きいですが、それ以上に傷ついた人々の心が映画を求めていたのでしょう。

地域のシンボル的存在である同館では今月末から、「終戦、72年目の夏。」と題した特集で戦争を扱った「この世界の片隅に」「麦秋」「雲ながるる果てに」「442 日系部隊」「野火」「ビルマの竪琴」を上映します。昨年から始めた特集で、今後も続けていくつもりです。作品の多くが広島の原爆や特攻隊など戦時中や戦場での出来事を主にしているのに対して、小津安二郎監督「麦秋」は終戦から6年後の市井の日常を描きます。「もはや戦後ではない」と言われだした時代。でも、どんなにおいしいものを食べて、どんなに楽しくお喋りをした食卓でも、そこにいるはずだった人がいない。ぽっかりと空いた日常、戦地から帰らぬ者の存在。日本人にとって戦争とは何か? 小津監督の残した傑作は、現代に生きる私たちに多くのことを問いかけてきます。

終戦から72年目の夏。色あせないメッセージを放つ6作品を是非、高崎電気館でご覧下さい。

 

高崎電気館 映写技師
飯塚 元伸 さん
【略歴】77年高崎生まれ。04年からNPOたかさきコミュニティシネマ勤務。シネマテークたかさきで映写技師を務める。14年から同NPOが運営委託を受けた高崎電気館の劇場で上映プログラム・映写を担当。