総体、インターハイ中止  3年生に晴れ舞台を

県高校弓道通信記録会開催
市立前橋・新井さん、天笠さん優勝

表彰状を手にする、市立前橋の新井さん(右)と、天笠さん=同校弓道場

今春、県高校総体とインターハイ(全国高校総合体育大会)が新型コロナウイルスの影響で中止となったのを受け、群馬県内高等学校弓道部顧問有志は、3年生を対象とした「通信記録会」を4月から6月にかけて開催した。優勝したのは、強豪校の市立前橋の新井貴之さんと天笠美月さん。「引退前に晴れ舞台を作ってあげたい」という思いから実施された記録会は、参加生徒にとっても思い出深いものとなった。  (上原道子)。

 

各校で記録取り集計

記録会の開催は、県高校総体の中止が決まった4月中旬、弓道部顧問有志が高体連弓道専門部に提案し、開催へ向けて準備を進めてきた。記録会は競技者が一堂に集まるのではなく、統一ルールに従って各校の弓道場で開催。後日、記録を集計し表彰するというもの。当初の開催期間は、5月15日までとしていたが、県立高校の臨時休校やインターハイの中止も相次ぎ、6月15日までに変更した。

競技は3年生の個人戦(男女別)のみ。予選と決勝各8射の計16射の的中数で競うもので、予選で5射当たった選手が決勝に進出。各校は、県のコロナ対策のガイドラインを守りながら開催し、記録を取った。

主催した市立太田高弓道部顧問の中西岳教諭は、「昨秋から一生懸命取り組んできた彼らの気持ちを考えた時、何かしてあげたいと思った」と語る。

力出し切り悔いなし

記録提出があったのは6校計38人。予選通過しなかった選手を含めると、これよりも多数の生徒が競技に臨んだとみられる。

力を出し切り優勝した新井さん

男子個人で、16射13的中させ優勝した市立前橋の新井貴之さんは「目指していた大会が全部なくなり、一時はやる気が失せてしまった。でも、どんな形であれ練習の成果を発揮できる場を与えてもらえたのは嬉しい。初めて個人優勝できたので自信にもなった。受験のため高校で競技として弓を引くのは最後だったが悔いはない」と喜びをかみしめた。

 

 

真剣な表情で的をねらう天笠さん

女子個人で、16射中14的中させた同校の天笠美月さんは「インターハイがなくなったのは悔しかった。本番は緊張したが最後まで集中して精一杯自分の力を出し切ることができた。進学後も弓道を続ける予定なので、この結果を糧にこれからも技術を高めていきたい」と話した。

敗退も大切な思い出に

 

記録会に挑む市立太田の小川副部員(左)ら弓道部員=同校弓道場

最後の晴れ舞台として記録会に臨んだが、予選敗退となり涙を流した選手も。

市立太田の弓道部副部長・小川真由さんは「記録会開催を知り、ラストに向け頑張る気持ちがわいた。予選では最初の4本がうまくいかなかったが、最後の4本は楽しんで引くことができ、思い出に残る記録会になりました」と振り返る。

昨年のインターハイ予選(2位まで出場)で女子個人3位と、あと一歩で惜しくも出場を逃した永島未莉さんは、その後事故で大怪我を負い、総体での再起を目指し練習に励んできた。「今年こそ出場したいと思っていたのに中止になり、やり場のない思いで過ごしていた。目的をもって部活動を行う良い機会をもらえて嬉しかった。予選は通過できませんでしたが、後悔はありません」と涙をぬぐいつつ前を向いた。

中西教諭は「総体中止決定後すぐに準備を進めたので大変だったが、県専門部を始め多くの学校の賛同を得てスムーズに開催できました。この記録会が高校生活最後の活躍の場となった部員も多く、実施できて良かったです」と笑顔を見せた。

なお、同記録会後、弓道の県総体の代替大会(8月)開催が決まった。内容は未定(19日現在)だが、3年生の一部は、新たな目標へ向け準備を進めていく。