縁起でもない話[2月15日号]

「もし余命半年なら」という想定で、トランプのようなカードを使って話し合う「もしバナ」ゲームを今月10日、高崎市内で体験しました。残る人生で何を大事にしたいか。36枚のカードに書かれた項目を1枚ずつ足したり引いたりし、それを選んだ理由をチーム内で打ち明けます。

「痛みがない」「家族と過ごす」「望んだ治療を受けられる」「不安がない」……。どれも大事なカードなのに、手元に残せるのは5枚だけ。偶然近くに座った初対面の4人で組み、家族の介護や病気、終活、看取りなど、かなり個人的な話や思いを分かち合いました。

人生最期に望む医療やケアについて、家族や医療・介護職とくり返し話し共有する取り組みを、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」と言います。昨春改定された厚労省指針で、その重要性が書き込まれました。親しめるようにと昨秋つけられた愛称は「人生会議」。でもまだ、堅い感じです。

難病患者の相談にのる知人の医師は、よくこう言います。「人間は死亡率100%の生きものです」。なるほど、その通り。苦笑されて話が進むそうです。別の医師は、外来や往診でみる常連のお年寄りに「ご飯が食べられなくなったら、どうする?」「寝たきりになったら?」と尋ねます。元気な時から、何度も、家族の前でも。

チームで話して気付いたのは、近親者の看取りを悔いている人の多いこと。「縁起でもない」と拒否されがちな話題をもっと事前に話せますように。カードもその一助になればと願っています。

(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)