「経営のプロ」を新社長に迎え J2定着へ向け経営強化

ザスパクサツ群馬

2月1日から株式会社ザスパの新社長に、森統則氏(52)が就任する。これまで赤字企業を黒字転換させた手腕で、今度はザスパの経営改革に挑む。昨年12月23日の新社長決定の記者会見で森氏は、J2定着、安定した経営などの目標のほか、「10年以内にアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)への出場も目指したい」と世界への夢を語った。21シーズン、ザスパは新加入選手13人を加えた33人で戦い、目標の勝ち点50、16位以内を狙う。

新加入選手記者会見で、森新社長(前列左から4人目)、奥野監督(同5人目)とともにガッツポーズをする新加入選手たち(1月16日、ホテルサンダーソン=ザスパ提供)

ザスパは、「経営のプロ」の森氏を社長に迎えることで、経営の立て直しを図る。

森氏は、東京都出身。早稲田大卒業後、三井物産に入社。その後、兵庫フットボールクラブを経て、家業の菓子製造販売の経営に関わり、債務超過で経営危機だった会社を黒字転換させた。18年にはRIZAPグループに入社し傘下のサポーター製造販売会社社長として10年間赤字体質だった企業を収益が出せるまでに再生させている。また、家業の経営に携わっていたとき、東京ヴェルディのスポンサーだったことで「(企業が)スポンサーとしてのメリットを感じるにはどうすべきか」を学んだ。

さらに、2年連続で指揮を執る奥野僚右監督(52)は、早稲田大サッカー部時代の後輩でもある。現場とフロントの意思疎通がスムーズに図れるのは改革の好材料となろう。

ザスパの経営状態をチーム人件費と営業収益(売上高)から見ると、J3時代の2019年のチーム(指導スタッフや選手)の人件費は約1・8億円で、J2平均7・7億円の約4分の1ほど。営業収益は約4・7億円と、同平均の約16・6億円の約3分の1の規模だ。昨年12月10日に行われた記者会見で、奈良知彦社長(1月31日に退任)は、「営業収益を24年までに9億円、26年までに10億円に」との目標を口にした。これが達成できれば、J1昇格を本気で目指せるクラブになるだろう。ちなみに、同年のJ1のチーム人件費の平均は25億円、営業収益は約49・5億となっている。

経営改革の布石として昨年11月末には、第三者割当増資でカインズが2300株を取得し、上毛新聞、エフエム群馬などの筆頭株主4社に加わった。同10月にはカインズから大久保勝司氏を営業戦略部長に迎え、営業の強化も図っている。

ザスパは、05年11月~07年1月まで、Jリーグから派遣された本谷祐一氏(元サンフレッチェ広島社長)を取締役事業統括本部長(のちに取締役専務)に迎えた時に経営危機を脱却している。再び経営のプロの下で、収益を出せる企業へと成長させることができるか。これまでの成功体験を基にした森氏の経営手腕に大いに期待したい。(星野志保)

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