「課題設定」能力身につける機会を(Vol.95)

ワークショップ「こども起業塾」で、講師の質問に答えながら主体的に課題に取り組む児童たち=太田市産業支援センター

太田市では3年前から起業家教育に力を入れている。初年度は市立太田中学校、高等学校において都内から若い起業家を招いての起業家講演会で刺激を受けてもらい、起業へのハードルを下げ、親子プログラミング教室を開催することで、実際に起業するために必要なスキルを身につけることを試みた。

さらに、昨年度からはこども起業塾と称して今までよりビジネスに特化した考え方を養うためのワークショップを小学校4年生から6年生を対象に実施。 具体的にはマンダラート発想法を学び、それぞれが思いついたビジネスを発表してもらった。マンダラートは、エンゼルスの大谷翔平選手が高校1年生の時に書いたものとして有名になったが、3×3の9マスを書き、その中心のマスに考えたいことを書き込み、周りのマスにはそれに関連する事柄を埋めていくもので、大谷選手の場合は中心のマスにドラ1、8球団と書き、その周りにスピード160キロ、変化球、メンタル、人間性、運、体作りなどと記載。次に周りに書いた8マスのうち、1マス(例えばメンタル)を選び、そのマスの記載内容を別の紙の中心のマスに転記し、メンタルの周りに8つ(ピンチに強い、一喜一憂しない、雰囲気に流されないなど)を記す。

この発想法を子供たちに自由に取り組んでもらい、最後に4コマ漫画にして発表してもらった。例えば、目が見えない人が後ろから来た車に気づくようにセンサーを使って車を察知し、前から光を使って盲目者に注意を促すと行ったビジネスプランが出た。大人と違い、最初から常識というフィルターを通して可否を判断するのではなく、「こうなったらいいな」を素直に考え、表現していき、ビジネスにする。社会起業家のようなアイディアが子供たちからは素直に出てきた。

課題発見、課題設定をする力をつけることがこれからは必要であり、子供のうちからトレーニングすることで、起業だけでなくマルチに役立つ能力を会得することがこども起業塾の目的である。

昨年度に引き続き、今年度も「こども起業塾」と、「親子プログラミング教室」(8月19日)を開催する予定だ。起業家教育を通じて、課題設定能力を身につける機会をこれからも提供していきたい。

 

太田市産業環境部工業振興課
主任 山本 伸一 さん
【略歴】79年埼玉生まれ。早稲田大学在学中に東オレゴン大学に留学。卒業後、東松山市役所入庁。07年退職。民間会社でWEBアパレル「DHOLIC」立上げに参画後、09年太田市役所入庁。13年から現職。

掲載内容のコピーはできません。