「高崎芸術劇場」9月20日オープン

国内最大級の舞台面と最新鋭の機能を誇る「大劇場」

「音楽のある街・高崎」に音楽と舞台芸術の殿堂誕生

「大劇場」「音楽ホール」「スタジオシアター」主要3ホールなどで構成

群馬の玄関口、高崎駅東口に今月20日、「高崎芸術劇場」がオープンする。「大劇場」「音楽ホール」「スタジオシアター」の主要3ホールで構成され、そのホール機能と規模は国内有数。まさに、「音楽のある街・高崎」にふさわしい「舞台芸術の殿堂」だ。開館記念公演でタクトを振るのは、高崎芸術劇場特別顧問に就任したマエストロ大友直人氏。ソリストに世界的歌手を迎え、群馬交響楽団、高崎第九合唱団と共に、「歓喜の歌」で知られるベートーベン「交響曲第9番」で新たな芸術文化発信拠点の門出を祝う。

ハードとソフトで「非日常」と「感動」を創造

日本の地方オーケストラの草分け的存在である群響の本拠地を有する高崎市。1961年に建設された群馬音楽センターは群響定期を始め、数々の著名アーティスト公演や市民の音楽活動を支えてきた。高崎芸術劇場は、その歴史と精神を継承し進化させると共に文化都市・高崎市ならではの新たな価値と感動を創造し発信していくという大きなコンセプトと使命を掲げている。

高崎芸術劇場は、高崎市が約260億円の建設工事費をかけ2016年夏から駅前の約1万平方メートルの敷地に整備を進めてきた。

新たな殿堂は3つの主要ホールなどで構成されている。栗梅色(赤茶色)を基調とした「大劇場」(2030席)は、重厚で優雅なたたずまい。国内最大級の舞台面と最新鋭の機能を誇る多目的ホールで、多種多様な演出に対応可能だ。客席は、舞台との一体感が得られる緩やかな扇型になっている。

ロックから能まで幅広い舞台演出に応える「スタジオシアター」

また、黒を基調とした「スタジオシアター」(最大1千人収容)は、シックでスタイリッシュな趣き。スタンディングイベントなど多様なパフォーマンスに対応できる可動式舞台と座席を完備。自由な空間形成が可能で、ロックコンサートはもちろん、演劇や能、舞踊など幅広い公演が楽しめる。

県内初の本格的な音楽専用「音楽ホール」

一方、木の温もりに満ちた「音楽ホール」(415席)は格調高く、洗練された雰囲気が漂う。県内初の本格的な音楽専用ホールで、グラウンドピアノの名器が常に最高の状態で保たれる。3ホールとも、それぞれの機能と個性が際立つような設計と意匠が凝らされており、まさに三者三様だ。

3ホールのほかにもリハーサルやレッスン、創作活動のための9つのスタジオ群などを有している。劇場が「第4のシアター」と位置付ける1階のシアターカフェ&レストランでは、高崎産の食材を活かした料理や各公演に合わせた特別メニューなどを提供。さらに3つのホールに付帯するシアタービュッフェでも、公演に合わせ飲み物や軽食を振る舞う予定。

「鑑賞の場」「創造の場」「交流の場」が一体化した文化芸術施設の館内は、柔らかな自然光と間接照明の光に包まれ明るく開放的。ガラス張りの建物は、道行く人に劇場の活動や賑わいを発信することができ集客効果も期待できる。劇場の佐藤育男副館長は、「幅広いニーズに応えながら、質の高い音楽と舞台芸術の鑑賞機会を提供していくのはもちろん、集客や地域コミュニティーの場としての役割も強く求められています。音楽のある街のシンボルとして、ハードとソフトの両面から『非日常』を演出し多くの感動と驚きを国内外に発信していきたいですね」と力強く語る。

「音楽のある街」の先人たちが脈々と築き上げてきた歴史と精神を受け継ぎ、新たな都市文化を創造していく高崎芸術劇場は今月20日、遂に幕を開ける。

クラシックからロック、バレエ、演劇、能まで多彩な70公演を開催

ハード面はもちろん、ソフト面でも国内トップクラスを目指す高崎芸術劇場では、国内外から著名アーティストを招へい。クラシックやオペラ、ミュージカル、ロック、ジャズ、バレエ、演劇、舞踊、能など、多彩な公演を行っていく。その数は年内で約70公演にも上るという。既に多くの公演が発表され、国内外から大きな注目と期待を集めている。

「歓喜の歌」で幕開け、高崎音楽祭に続く

こけら落としとなる9月20日は、劇場特別顧問を務める大友直人さんの指揮で、群響、高崎第九合唱団、世界的ソリストがベートーベンの「歓喜の歌」を披露。新たな劇場の幕開けを祝う。翌21日と22日は、開館記念演奏会として海外招へい歌手によるリサイタルを行う。21日はテノールのペーター・ロダールさんと中嶋彰子さん、22日はソプラノのクリスティン・ルイスさんが登場する。

今月22日から10月14日まで開催される高崎音楽祭の初日は、日本を代表するシンガーソングライター加藤登紀子さんと森山良子さんが群響と共演。翌日9月23日は、群馬ゆかりのロックバンド「BOØWY」のベーシスト松井常松さんのライブ、同28日は群響ミュージック・アドバイザーの小林研一郎さんの指揮で群響と高崎出身のピアニスト金子三勇士さんがモーツァルトのコンツェルトなどを演奏する。10月1日は日本を代表するピアニスト仲道郁代さんのリサイタル、同12日は群馬出身ジャズピアニスト山中千尋さんのライブなど、硬軟織り交ぜたラインナップが楽しめる。

多彩なプログラムが目白押し

音楽祭以降も、多彩なプログラムが目白押しだ。10月19、20日は華やかな民族衣装のポーランド国立民族合唱舞踊団「シロンスク」が舞踊を披露。同25日は、92歳になるピアノの巨匠パウル・パドゥラ=スコダがシューベルトの名曲を、同30日は、実力派バイオリニストのイザベル・ファウストが世界屈指の音でソナタを奏でる。また、11月1日には、指揮者でありピアニストでもある渡邉康雄が弾き振りする平日午後のモーツァルトも行われる。

劇場の串田千明事業課課長は、「特におすすめなのは11月17日の公演。日本古来の響きを披露する雅楽『伶楽舎(れいがくしゃ)』が、改元の年にふさわしい曲『賀殿』を演奏します。クリスマスは布袋寅泰さんによる2DAYS公演、正月には大友さん率いる群響とソプラノ森麻季さんの元旦コンサートなど、様々なジャンルが存分に堪能できるラインナップ。是非、会場で多彩な公演を楽しんで下さい」と話す。

高崎駅東口から延伸されるペデストリアンデッキも開館と同時につながる高崎芸術劇場

なお、世界的指揮者ケント・ナガノさんと人気ピアニスト辻井伸行さんが共演する公演や、高橋真梨子さんのライブなど開館前に既に完売している催しも少なくない。由緒あるトリエステ・ヴェルディ歌劇場による「椿姫」は残席わずかだ。劇場の栗田弘之事業企画担当部長は、「オペラも残り少なく、値が張るチケットも好調です。現在、チケット先行購入できる年会費無料の高崎芸術劇場メンバーズは1万人を突破しました。開館前から劇場への関心の高さが感じられ嬉しいです」と微笑む。

なお、公演の詳細は同劇場HP(http://takasaki-
foundation.or.jp/theatre/index.php)。高崎芸術劇場の問い合わせは、高崎財団(☎027-321-7300 高崎市栄町9-1)。

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