【企画展】光を秘めた不思議な色 ~千年を越えて伝わる色彩~

延喜式再現品と黄櫨染御袍の立ち雛

千年以上受け継がれる、日本の豊かな色彩

10月22日に行われた、天皇陛下の即位に伴う儀式「即位礼正殿の儀」に、陛下は「黄櫨染御袍」という装束を着用されて臨まれました。この装束の「黄櫨」とは、820年に嵯峨天皇が天皇の服の色として定めた色です。また、秋篠宮さまが着用された装束の「黄丹」という色は、さらに古く奈良時代の『養老律令』(718年制定757年施行)で皇太子の服の色として定められました。
黄櫨や黄丹のような古代の色彩を今に伝えてきたのが、平安時代の法令集『延喜式(905~927編)です。養老律令の施行細則を役所ごとにまとめたもので、その中の宮中の衣服の裁縫などをつかさどった役所「縫殿寮」の業務について書かれた巻の「雑染用度」という項目には、黄櫨、黄丹ほか全38色の染色に必要な染料(植物)、媒染剤(灰、酢など)、燃料(薪など)の分量が記されています。
例えば黄櫨はハゼとスオウで、黄丹はベニバナとクチナシで染めることが書かれており、いわば染色のレシピです。『延喜式』からは10種類の植物で38色を染め分けていたことが分かり、古代の染色を知る拠りどころとなっています。

束帯と十二単

本展では、草木染で『延喜式』の色彩を再現した反物(山崎青樹作)全38色を展示しています。黄櫨と黄丹は、太陽の色や光をあらわしていると言われます。実は、黄櫨を染めるハゼや黄丹を染めるベニバナには、紫外線を受けると光る(蛍光を発する)性質があります。つまり、黄櫨や黄丹は「光を秘めた色」なのです。古代、紫外線だけが当たることはなかったでしょうが、外光や満月の月明かりを浴びた時には不思議な輝きを放っていたかもしれません。
本展では、ヤマハゼやベニバナで染めた布が実際に光る様子もご覧いただけます。また、平安時代以降宮中に受け継がれている男女の正装「束帯」と「十二単」、また十二単の一部の「五衣」の配色にそれぞれ雅びやかな名前がつけられた「襲の色目」なども紹介しています。千年以上の時を経て受け継がれる、植物が生み出してきた日本の豊かな色彩をお楽しみください。

高崎市染料植物園
杉本あゆ子 さん

金沢美術工芸大学芸術学専攻卒業。須坂版画美術館、高崎市美術館で学芸員として勤務。2017年より高崎市染料植物園に勤務

■高崎市染料植物園染色工芸館(高崎市寺尾町2302・11)■027・328・6808■12月1日まで■午前9~午後4時半(入館は同4時まで)■月曜休園(祝日の場合は開園し翌日休園)■入館料一般200円、大高生150円、65歳以上、中学生以下は無料■11月30日講習会「草木染・絹の絣糸を染める」(要申込)

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