お正月を健康に過ごそう!

もうすぐお正月。今年はコロナ感染拡大の影響もあり、年末年始を健康に過ごしたいという意識が高まっている。野菜ソムリエや理学療法士、アロマテラピストら4人の専門家に、寒い冬を元気に乗り越える秘訣を聞いた。

家族みんなで転倒予防体操

【老年病研究所附属リハビリテーション部 前橋地域リハビリテーション広域支援センター理学療法士・牧 雄介さん】

大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)という言葉を聞いたことはありますか。足の付け根の骨折です。高齢者が転倒して骨折すると、寝たきり状態になる可能性があります。年末年始に発生数が増加し、骨粗鬆症とも関係が深いため、女性は壮年期から注意が必要です。

転びやすい環境は、「ぬかづけ」と言われています。「ぬ」れているところ、「か」階段、段差、かた「づけ」ていない場所です。特に冬場は、朝の路面凍結、暖房器具のコードやこたつ布団、ひざ掛けの腰巻などにはお気をつけください。厚手の靴下の重ね履きも危険ですよ。

身体についても、寒い時期は、硬くなった筋肉がうまく動かせず、関節も痛くなりやすいので注意です。特に今年はコロナの影響もあり、外出機会が減少して、運動不足になっている人が多く見受けられます。

転倒の防止のためには、足の指の働きを良くして、体の軸を保つことが大切です。予防の体操を2種類紹介します。一つは、足の指に手の指を深く入れ、上下に動かすストレッチ体操。反る曲げるを繰り返し、片足3分ずつ行ってもらうと効果的です。もう一つは、身体の軸を保ちバランスを整えるサイドクライム体操です。10~20㌢の段差を横に登り降りします。手すりに手で軽く支えて体を前にかがめずに、登り足と身体が垂直を保つように左右10回×2セット行います。年末年始に家族一緒にトライしてください。

前橋市出身。国際医療福祉大学卒業。順天堂大学附属病院で勤務後、サントリーラグビー部PTなどスポーツやヘルスケアの分野で活動。現在、老年病研究所附属病院に理学療法士として勤務する傍ら、広域支援センターにて介護予防教室の講師なども務める。同センター(027-253-4061)。

群馬産の冬野菜で免疫力アップ‼

【野菜ソムリエ上級プロ・フリーアナウンサー 竹下 裕理さん】

細菌やウイルスから体を守る「免疫力」を高めるためには、朝食で体を温め代謝を上げることが大事です。一方、私たちの体を作っている細胞への栄養補給も不可欠。特に、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な野菜をバランスよく摂取しましょう。

群馬にはホウレンソウ、白菜、ネギ、春菊、小松菜など生産量が全国でも上位の冬野菜がたくさんあります。旬のものは味が良く栄養価も高いです。また、様々な種類の野菜を意識して食べるとバランスよく栄養が摂れますよ。

風邪予防に役立つビタミンCや免疫力アップが期待できるβカロテン、鉄分、カルシウムなどが豊富な緑黄色野菜(*)は積極的に食べたいですね。例えば、ホウレンソウやニンジン、小松菜、春菊、ブロッコリーなどです。ほかにも、白菜やカリフラワーなどの淡色野菜や、見た目がかわいいロマネスコもビタミンCや食物繊維が豊富。中でも消化酵素アミラーゼを含む大根やカブは暴飲暴食しがちな年末年始に最適です。

冬野菜を手軽にたくさん摂れるメニューと言えば「鍋」。味噌、しょうゆ、鶏ガラ、トマトなどベースの味を変えれば飽きません。年越しそばも、具だくさんの温かいつゆで食べてみてはいかがでしょうか?
*原則として可食部100g中カロテン含量が600µg以上のもの

安中市出身。NHK前橋放送局などを経て、フリーアナウンサーとして活動する一方で「ひめラボ」で県産農畜産物のブランド化に取組む。野菜ソムリエ上級プロとして農産物の魅力を発信中。ブログ「野菜のある生活」(https://ameblo.jp/mameyuritake/)を随時更新中

アロマでできるウイルス対策

【さくらアロマテラピースクール代表・浅井 明美さん】

アロマテラピーは、植物から抽出した精油(エッセンシャルオイル)の香りを使った自然療法(アロマは「芳香」、テラピーは「療法」)。手軽にリラックスできるので、ストレスを感じることの多い現代人にはオススメです。

精油には多くの種類があり、それぞれ異なる芳香成分が心身に穏やかに働きかけバランスを整えてくれます。特に免疫力アップにおすすめの精油は「ユーカリ」「ティーツリー」「ラベンダー」。抗菌作用も高く、ウイルスに感染しない強い体作りのサポートをしてくれます。

アロマテラピーを簡単に楽しめるのが「芳香浴」。スプレーやアロマディフューザーなどを使って精油を空間に拡散させ、香りを楽しみます。このほか、お湯を注いだカップに精油を1~5滴垂らして香りを広げる方法も。また、ハンカチやティッシュに精油を1、2滴つけて外出すれば、好きな時に香りを楽しめますよ。ただし精油を直接肌に塗ることは厳禁。

何よりも大切なのは、自分にとって心地の良い香りを選ぶことです。自分の心と体が求める香りをかぐことがリラックス効果を生み、ひいては免疫力を高めます。アロマの力を借りて笑顔あふれるお正月をお過ごしください。

富岡市在住。アロマセラピスト(日本アロマ環境協会認定)、アロマテラピーインストラクター(同)。ハーバルセラピスト(NPO日本メディカルハーブ協会認定)。「生活の木」パートナーショップ。同スクール高崎校(027-365-3016)。

餅の窒息事故を防ぐ「パタカラ体操」

【社会福祉法人二之沢真福会  特別養護老人ホーム ルネス前橋 機能訓練指導員 山田 恵さん】

お正月はお餅を食べる機会が多くなってきますが、窒息事故によって、救急搬送された人の9割以上が65歳以上。それも12月、1月に約半数が集中しています(2014~18年、東京消防庁調べ)。コロナの感染拡大で、会話が減り、お口の周りの筋肉などが衰えていませんか。

窒息や誤嚥を予防する「パタカラ体操」をご紹介します。「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することで、唇と舌、のどを鍛えられます。

「パ」はしっかりと唇を閉めて、「タ」は舌を上あごにくっつけてから下あごに向かって打ち付け、「カ」はのどの奥に力を入れ閉めて、「ラ」は舌をまるめて、上の前歯の裏につけて発音します。

「パ、パ、パ…」「タ、タ、タ…」と各10回繰り返した後、「パンダのたからもの」と数回言って見ましょう。食事前に毎日行ってください。他にも首周りのストレッチや舌を出したり、大きな声で歌うのも効果があります。

当ホームでも年末には餅つき大会をしますが、お餅を食べる際は、小さく切り、汁を飲んでから、一人では食べない、などに気を配っています。乳幼児の場合は、餅以外に豆やナッツ類にも気を付けてください。

前橋市在住。2010年二之沢真福会入職、2015年ルネス前橋開設に伴い異動。入職時から介護職員と連携して入居者様の機能維持向上の業務に携わる。理学療法士、介護支援専門員。ルネス前橋(027-219-2038)。

掲載内容のコピーはできません。