まちづくりに「Think Different 」の精神を(Vol.64)

今月7日に開かれた「第2回めぶくトーク」。撮影 木暮伸也
今月7日に開かれた「第2回めぶくトーク」。撮影 木暮伸也

「本気で行動すれば衰退した街も元気になるはず」というのは真っ当なことですが、言葉にしてそれを言うと変わっている人だと言われます。「まちなかを盛り上げたい、格好の良い街にしたい」と話すと「そりゃ良い話だけど、あなたは無謀だ」と言う人が大半でした。「なぜ今まちなかなんだ?」という問いも必ずある質問ですが、答えは「そこが好きだから」。

地域で活動を始めて4年ほど経った頃、「前橋まちなか研究室」の企画設計に携わった事をきっかけに、15年から田中仁財団との「まちなか活性化プロジェクト」が始まりました。研究室には社会的立場を越えた様々な方々が来室し、前橋について語り合いました。そこで見えたことは、前橋には素晴らしい活動が沢山あること、そして前橋の衰退を嘆きつつも大切に考えている方が沢山いることです。と同時に、それらには繋がりがなく、全てが点になっているという課題が見つかり、解決の為には目指すべき共通のビジョンが必要であると捉え、ビジョン策定プロジェクトがスタートしました。

16年8月に発表された前橋ビジョン「めぶく。」と同時に「体感できるコミュニティ」「様々な体験のバランス」「意識のある取り組み」この3つの姿勢も示されました。前橋を芽吹かせるためのヒントです。そして課題だった点を繋げ、芽吹きを応援しビジョン推進をサポートするための組織がMMAです。これまで、糸井重里氏を招いた「めぶく」トークなど様々なイベントをサポートしてきました。

「最近の前橋は動きが出てきたが見える成果はまだか?」という声も聞かれます。今は3つの姿勢を整え浸透させる段階で、ビジョンができたからといってすぐに賑わいが戻ったり目に見える結果が出るものではありません。

前橋のプロジェクトが他の地方創生と違うのは、芽吹きの大地に無数にある石を丁寧に整理し、土を作りしっかり耕すことに時間を掛けるところにあると思います。他所での成功事例をコピー&ペーストするようなまちづくりではありません。

アップル社の97年のCM「Think Different」にあるように、「どんなにクレイジーだと言われようと本気で変えられると信じて行動していればきっと世界は変えられる」そう信じて、前橋を格好の良い、楽しい街にするよう尽力しています。ぜひ前橋に遊びにきてください。

 

(一社)前橋まちなかエージェンシー
(略称MMA)
代表理事 橋本 薫 さん
【略歴】77年前橋生まれ。建築設計を生業としつつ、12年から高崎や前橋の中心市街地にある空き家を活用したコミュニティスペースの企画設計に参画したことをきっかけに、まちづくりに関わりはじめる。16年にMMAを設立し代表理事を務める。

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