コロナ禍の中で、絵本から繋がる心と命のバトン(Vol.173)

吉岡町図書館を会場として発表した立ち絵紙芝居=昨年11月

「命を愛おしく育む絵本をコロナ禍で心の疲れた親子に贈りたい」 今秋、吉岡町図書館を会場としたイベント「命をテーマにした絵本の読み聞かせとお楽しみ紙芝居の実演」を、育英大学教育学部教育学科児童教育専攻渡辺ゼミの学生と子育て支援をテーマとして研究する同大学生サークルJCCクラブで共同企画します。

きっかけは、今春からのコロナ禍による活動自粛や教育活動の混乱の中で、今まで何気なく過ごしてきた日常生活の尊さや子どもたちとの関わり、絵本や紙芝居の素晴らしさを再確認し、命をテーマにした絵本を学生たちと学びたいと思ったからです。

また筆者自身、茅ヶ崎市立浜之郷小学校初代校長・大瀬敏昭先生の『輝け!いのちの授業 末期がんの校長が実践した感動の記録』(04年、小学館)を16年ぶりに読み返してみて、校長先生が実践した絵本の読み聞かせによる授業が現在の社会状況にも重なり、心にしみ込んでいくメッセージがあると確信し、子どもたちに伝えたいと考えました。イベント当日は、大瀬先生の著書巻末にリストアップされていた「命をテーマにした絵本」から学生と共にセレクトした幼児向けの絵本の読み聞かせを行います。

吉岡町図書館との連携は、吉岡町の民話を紙芝居にするという同館の企画に筆者が描画担当として携わったことがきっかけです。その後、JCCクラブを中心にした親子向け造形活動や紙芝居実演など、様々な交流を8年前から継続しています。

今年度は、コロナ渦の混乱の中で学生と共に学んだ「子どもに命のバトンが繋がっていく、世代に繋ぐ絵本」の読み聞かせを重視しています。また、これまで継続してきた手作り紙芝居の実演も合間に入れ、感染予防を考慮しつつ、子どもの反応や交流を通して新たな実践の方向性を見出していきたいと思います。イベントは、10月11日に開催されます。参加希望の幼児と保護者の方は吉岡町図書館(☎0279・54・6767)にお問い合わせ下さい。

育英大学教育学部教育学科
児童教育専攻 准教授
渡辺 一洋

【略歴】1978年新潟県生まれ。兵庫教育大学連合大学院芸術領域修了。専門は造形表現及び美術教育。育英短期大学保育学科准教授を経て、2019年4月より現職

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