シーズン到来‼ ぐんまの穫れたていちご

イチゴのおいしい季節がやってきました。群馬では県オリジナル品種で全国的にも人気が高まりつつある「やよいひめ」をはじめ、多様な品種が栽培されています。今週は、直売、イチゴ狩り、加工品など、県内で楽しめる苺スポットを紹介します。

県内全域で栽培、全国13位の出荷量

群馬のイチゴの出荷量は最新の統計(農林水産省2019年作付統計調査)によると全国13位。トップ10にこそ入っていないが比較的上位に位置する。おもな産地は、藤岡、富岡、高崎、館林、太田、前橋、渋川、沼田、昭和など、県内ほぼ全域で栽培されている。各農家では旬のイチゴを味わえるよう摘みたて果実の直売所を設けたり摘み取り体験のできるハウスを設置したりしている。

3月過ぎても美味しい「やよいひめ」

県のオリジナル品種は、とねほっぺ、尾瀬はるか、やよいひめ、おぜあかりんの4種類があるが、県内では、やよいひめの生産が約8割を占めている。群馬の「とねほっぺ」と栃木の品種「とちおとめ」とを交配させたもので1996年から県園芸試験場(現農業技術センター)が育成に取り組み、2005年に誕生した。

一般的にイチゴは気温が上がる時期に品質が落ちてくるが、やよいひめは名前の通り、3月を過ぎても甘くて大きい果実が実るという特性がある。粒も大きく日持ちがするため菓子業界でも評価が高い。

一昨年に県が立ち上げた、農作物を客観的に分析し魅力を発信する「G-アナライズ&PRチーム」がやよいひめを他品種と比較した結果、甘み、コク、味の強さ、うまみ、濃厚さ、渋み、味の余韻などほとんどの項目で評価が上回ったという(グラフ参照)。近年では全国で栽培されている。

 

「やよいひめ」の生みの親

ほさか農園 昭和村

昭和村のほさか農園は、代表の保坂貴仁さん(48)、みゆきさん(48)夫妻と、貴仁さんの両親、初次さん(73)・洋子さん(71)夫妻の4人で「やよいひめ」のみを栽培する。貴仁さんは父が始めたイチゴ栽培を8年前に引き継いだ。

約30年前、初次さんのはたらきかけがきっかけで県がイチゴのオリジナル品種育成に着手。1999年に県品種第一号「とねほっぺ」が誕生した。その後もバージョンアップのための研究が続けられ、同園では品種改良の試験や品種の選定などに協力。2005年に「とちおとめ」(栃木県育成)と「とねほっぺ」とを掛け合わせた「やよいひめ」が生まれた。貴仁さんは「父が『やよいひめ』の生みの親ともいえます」と胸を張る。

やよいひめは、暖房設備により加温して栽培するのが主流だが、ほさか農園のハウス内は無加温。苗の周りをトンネル状に覆って保温することで夜の寒さから守っている。これによりハウス内には昼間との気温差が生じて甘みが増し、味も濃厚に。また、じっくり育つので身の締まった美味しい果実になるという。直売のほか、注文に応じて地方発送も積極的に行う。また、実を乾燥させたドライいちごや100%ジュース、紅茶、ジャムなどの加工品を「恋する果実」のブランド名で展開中。

■イチゴや加工品は関越道赤城高原SA(上り・下り)でも取り扱う。注文は電話やホームページで受け付け中。同園(0278-24-6862=1~5月10:00-16:00、HP= https://hosakafarm.com/

 

直売、イチゴ狩り、スイーツ…etc.

多品種を食べ比べ

渋川  STRAWBERRY FARM 陽一郎園

真っ赤なビートルが目印

観光イチゴ園が並ぶ、渋川市赤城町樽地区にある「STRAWBERRY FARM陽一郎園」(大畠篤司社長)は、入り口に停まった真っ赤な「いちごビートル」が目印。今シーズンもイチゴの生育は順調で、昨年末からイチゴ狩りをオープンした。

陽一郎園ではイチゴ狩り用6棟、直売用2棟、計8棟のハウスで栽培をしており、品種が多いのが同園の特徴。「やよいひめ」「章姫」などメジャーなイチゴから、「桃薫」「淡雪」「ななか」「ジューシー」などの希少品種まで、今シーズンは11種類を栽培している。清潔で楽に摘み取れると好評の高設ベンチ栽培のほか、ミネラルにこだわった土耕栽培のハウスも。日によって入れるハウスが違うため、その日に食べられるイチゴの種類などをツイッターで発信している。多品種を食べたい人は午前中早目の来店がおすすめだ。

■イチゴ狩り、直売所ともに午前9時~なくなるまで。予約不要。4月10日までの入園料は一般1700円、小学生1500円、幼児(3歳から)1300円。入園料にプラス150円で、入園時間10分延長と生クリーム入り大福がつく「いちご大福コース」のオプションなども。同園(0279-56-7112)。

谷川の雪どけ水で栽培

みなかみ たくみの里「いちごの家」

摘み取りは完全予約制

みなかみ町の「たくみの里」内で、いちご狩りやスイーツ作りが楽しめる「いちごの家」。代表の安部則幸さんは谷川の雪どけ水でつくったこだわりのイチゴを「雪どけ苺」と名付け、2015年から丹精込めて栽培、提供している。

今シーズンのイチゴ狩りはコロナ対策のため5人以内3組までの完全予約制(30分食べ放題)とし、グループごとに専用エリアへ案内している。また併設するカフェでは、イチゴを凍らせて削った「雪いちご」(500円)が大好評。さらに、スムージーの上に雪いちごと生のイチゴをたっぷりのせた「いちごブーケパフェ」(1800円)は、トータルで300gのイチゴが使われているという、期間限定のぜいたくなデザートだ。イチゴ狩り体験者は、スムージー作り(500円増し)や大福作り(200円増し)も体験できる。

■イチゴ狩りは4月4日までは中学生以上2000円(同5日以降は1800円)、小学生1700円(同1500円)、小学生未満1000円(同900円)、2歳以下無料。24時間オンライン予約可。当日の予約は午前8時から電話で。火曜休み。同家(080-9568-4706)

県の品評会で今年も最高賞

高崎  金井いちご園

イチゴを載せたぜいたくスムージーも大人気

高崎市の「金井いちご園」は、やよいひめをメインに19種類のイチゴを生産している。今年度は密を避けるためイチゴ狩りを休止。出荷と直売メインで営業する。代表の金井繁正さんは脱サラして2005年夏にイチゴ農家へ転身。今年15シーズン目を迎えた。先月行われた県のいちご品評会では4年連続金賞、2年ぶり3回目の最高賞「県知事賞」を獲得した。

加工品などの6次産業にも力を入れる。県道29号沿いの、大きなイチゴの壁画とクマのオブジェがひときわ目をひく直売所では大人気のスムージーやアイスなどの加工品を通年で提供。イチゴのシーズンには、生の大粒イチゴを、スムージーと生クリームの上にまるごとふんだんに積み重ねた「ストロベリーボンボン」を期間限定で販売中だ。金井代表は「今後、6次産業をさらに拡大し、加工品の種類を増やしていきたい」と意気込む。

■現在、15周年を記念し店舗の夜間ライトアップ中。スムージー(税込480円~)、ストロベリーボンボン(同880円~)。いちご大福2個入り(同500円)。同園(027-344-1077)

大粒やよいひめ厳選パック

道の駅 ららん藤岡 ほか

イチゴの主要産地として名高い藤岡では、10年ほど前から大粒のやよいひめだけを厳選した商品「いちご一枝」を販売している。

藤岡商工会議所が企画。県立女子大の学生らが手掛けたパッケージは2013年度に「グッドデザインぐんま」を受賞した。枝の長さを4センチ残してあり、名前の通り一枝ずつつまみながら味わえる。また、「一期一会」の言葉の意味と掛けて、商品を買った人と藤岡市との出会いを大切にしてもらいたいとの願いを込めた。同会議所指導課の布施幸代主任は、「秋から冬に晴天が続き降水量が少なかったせいか、とても甘みがのっていて例年以上の味を楽しめます」と話す。

■3月下旬まで、道の駅ららん藤岡観光物産館(0274-50-1187)で店頭販売。藤岡商工会議所及び会遊亭(0274-25-8411)での予約販売(発送の場合には代金先払い・送料別途)も(配送は3月上旬まで)。1粒40g以上のLLサイズ8粒入りパ(税込1200円)と、35g以上のLサイズ8粒入り(同1000円)。同会議所(0274-22-1230)

期間限定「いちご大福」

妙ちくりん

生クリーム大福が人気の生菓子店「妙ちくりん」。伊勢崎、高崎、邑楽の3店舗では1月から待ちに待った「いちご大福」の販売が始まった。真ん中にドーンと入っているのは、伊勢崎市内の契約農家からその日に穫れたて真っ赤で甘くてジューシーな「やよいひめ」。清潔な工場でM、L、2Lサイズに選別し、生クリーム、練乳あん、モチモチの生地で手間ひまかけて包んでいる。20年以上クリーム大福一筋で製造を手掛ける創業者の影森剛さんは、「旬のやよいひめ本来の味を生かしている自信作です。午前中に売り切れてしまうことも多いのですが、ぜひ味わってください」と話す。この時期しか味わえない逸品を求めてリピーターが足を運んでいる。「いちご大福」Lサイズ170円(税別)。伊勢崎店(0120-13-4339)、高崎新保店(0120-61-4339)、邑楽町店(0120-25-4339)。

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