タップダンスの話(Vol.12)

タップダンス魂に火が付いた三遊亭小遊三師匠と

芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。

今年の初めからタップダンスを習っております。きっかけは私が所属している漫才協会の年に一度のイベント「漫才大会」。去年の漫才大会で若手を中心に踊ったタップダンスを見て「カッコイイなあ」と思い、今年からレッスンに参加する事にしました。

タップダンスを知らない方のためにご説明しますと、靴の裏側、つま先とかかとの2カ所にタップチップという金属が付いていて、それを床に叩いて音を出す、いわば人間打楽器。同じ漫才協会の先輩「おぼん・こぼん」師匠がいつもステージでタップを軽やかに踊っているのですが、見るのとやるのとでは大違い。

まず音が鳴らない。ひとつ鳴っても連続して鳴らそうとするとスカスカになる。そして運動量がハンパない。ちょっと練習しただけで汗がドワーッ。終わった後はシャツがびしょびしょ。高級ステーキの肉汁のように汗がしたたり落ちます。

それでも続けてるうちに「昨日まで出来なかった事が出来る様になる瞬間」が訪れ、一度その喜び知っちゃうとやめられない。どこでもカタカタ。自然にカタカタ。

その練習の甲斐もあって先日の漫才大会では、大勢のお客さんの前でタップダンスを披露。好評を頂きました。

思えば、漫才協会が公演を行っている場所は浅草東洋館。ここは昔『フランス座』というストリップ小屋で、そこで修行をしていたのが若き日のビートたけし。世界の北野。

そのたけしさんがタップの練習をしていた東洋館の屋上で、同じ様にタップの練習をしている自分。歴史が繋がってるようで勝手に感動しています。

そして先日、静岡県島田市での落語会にゲストで呼ばれた時の事。笑点でお馴染みの三遊亭小遊三師匠と初めてご一緒しました。

初めてお会いするので話しかけるきっかけを捜していたのですが、なかなかタイミングがつかめない。ふと師匠の足元を見ると妙な動きをしています。ん?これは?もしや?「小遊三師匠。失礼ですが、もしかしてタップダンスやられてるんですか?」

「そうなんだよ。こないだおぼんこぼんさんと一緒にタップやってさあ」

「え?ホントですか?私、今おぼんこぼん師匠にタップダンス習ってます」

「そうなの?いや、昔タップやってたんだけど久々火がついちゃってさあ…」

そこからタップ談義になり、帰りの新幹線でも仲良くお話させて頂きました。

時代を超え、世代を超え、人を繋げるタップダンス。あなたも一緒にカタカタしてみませんか?

金谷ヒデユキ

金谷ヒデユキ

安中市出身。フジTV「タモリのボキャブラ天国」にて「地獄のスナフキン」の愛称で親しまれた音楽芸人。現在は音楽活動、芸人活動の他、声優として「機関車トーマス」アニメ「けいおん」等にも出演。ツイッターのフォロワー募集中。

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