上州の城跡と桜

桜の便りがちらほら聞こえてきました。一方、日本は空前の「城ブーム」と言われ、城巡りを楽しむ人が増えているようです。県内にも、情趣あふれる城跡が数多くあります。今週は、桜とともに楽しめる県内の城スポットを紹介。歴史に思いを馳せながらお花見散歩をしてみては?
※花見の際は、感染症対策をしっかり行うとともに、現地での指示に従って行動しましょう。

 

内堀に咲き誇るソメイヨシノ 城之内公園

小泉城〈大泉町〉

小泉城の本丸と二の丸の一部を整備した公園。園内にはソメイヨシノなど約200本の桜が植えられ、内堀に沿って咲く水辺の桜が楽しめる。公園内にはウサギ、インコ、鶏などが飼育されている小動物園や遊戯施設も。
同町道路公園課(0276-63-3111)

■小泉城跡≪大泉町城之内≫ 1489年、富岡主税介直光により築城された。6代約100年にわたって同氏が居城。1590年、豊臣氏の小田原攻めともに破れ、廃城となった。城の中心部は回字型をもつ囲郭式平城の典型。町指定史跡。

土塁から見下ろして  前橋公園

前橋城〈前橋市〉

ソメイヨシノなど園内に約350本の桜が植えられている、市内有数の花見スポット。園内で樹齢が最も古いとされるのは土塁の桜で、上に登って花を楽しむことができる。恒例の桜のライトアップは今年は中止に。
前橋市公園管理事務所(027-225-2116)

■前橋城址≪前橋市大手町≫ 前橋城の起源は諸説あり。15世紀末、長野氏の拠点であった箕輪城の支城として築かれた石倉城がその始まりであるとされる。古くは「厩橋城」と呼ばれ、江戸時代に徳川家の重臣・酒井家が入城後、松平家へ引き継がれるが、度重なる利根川の氾濫を受け1769年に廃城。江戸末期に再建するもわずか4年後、廃藩置県で取り壊された。この時取り壊しを免れた本丸御殿の場所には現在、昭和庁舎と県庁舎が建つ。周囲に土塁も残る。

情趣あふれる織田氏の城下町 雄川堰

小幡城〈甘楽町〉

大手門(現在の同町歴史民俗資料館付近)の北に伸びる「町屋地区」では近くを流れる雄川から取水し整備された用水路「雄川堰」があり、ソメイヨシノ約50本の並木となっている。なまこ壁の土蔵やかつての養蚕農家の家屋が建ち並び、花とともに歴史的情緒が味わえる。4月の武者行列イベントは中止に。
甘楽町産業課商工観光係(0274-74-3131)

■小幡城(藩邸)跡≪甘楽町小幡≫ 中世の豪族・小幡氏の根拠地として栄えた甘楽町小幡は江戸時代、信長の二男・信雄をはじめとする織田家8代や松平氏が治めた城下町。江戸の末期に「小幡城」と呼ばれた藩邸(御殿)は面積約900平方mの陣屋造りだったが現在、建物はない。大名庭園「国指定名勝 楽山園」(入園料高校生以上300円、0274-74-4795))内の拾九間長屋ガイダンス室では、小幡藩邸(御殿)の50分の1のジオラマを展示。

復元された重厚な門構え

館林城〈館林市〉

「土橋門」は、館林城の中心「三の丸」への通用門。同城のシンボルとして1983年に復元された。門前にソメイヨシノが植えられている。城沼へ流れ込む鶴生田川の河畔は桜の名所だが、館林さくらまつりとこいのぼりの里まつりは、今年は中止。
館林市観光協会(0276-74-5233)

■館林城跡≪館林市城町≫ 城沼を自然の要害とした平城で、別名「尾曳城」と呼ばれる。徳川四天王のひとり、榊原康政が初代藩主。のちに徳川綱吉も城主をつとめた。城沼を城の東側外堀とし、本丸(現在は向井千秋子ども記念館ほか)、二の丸(現・市役所)、三の丸(現・文化会館)などを置く。西方の台地に城下町を配置し、すべてを土塁や堀で囲んでいた。建物は1874(明治7)年に大半が焼失、現在は土塁の一部が残るのみ。

お堀は夜間ライトアップで幻想的に 乾櫓

高崎城〈高崎市〉

群馬音楽センター近くの高崎城址は桜の名所。武器や食料の収蔵庫で、ここから敵に矢や鉄砲を射られたという「乾櫓」は、県内に現存する唯一の城郭建築。高崎城址公園など周辺には約300本の桜が咲き誇る。現在お堀の夜間ライトアップを行っている(午後6時~午後10時)。
高崎市観光課(027-321-1257)

■高崎城址≪高崎市高松町≫ 1598年、徳川家康の命を受けた箕輪城主・井伊直政によって築城された。郭内だけでも5万坪を超える広大な城郭だった。現在は三の丸外囲の土居と堀、乾櫓、東門が残る。県指定重要文化財。

 

名城 近くに圧巻の桜並木も 御前曲輪

箕輪城〈高崎市〉

箕輪城跡の御前曲輪に見事な桜が咲く。毎週日曜午前10時~午後2時には「箕郷ふれあい市」(箕輪城跡東側大駐車場)が行われ、箕輪城の御城印も販売。また、近くのふれあい公園や榛名白川沿いの桜並木(箕郷支所産業課=027-371-9065)も花見スポットとして人気だ。
箕郷支所地域振興課(027-371-4185)

箕輪城跡≪高崎市箕郷町東明屋≫ 約500年前に長野業尚によって築かれた名城。現在の城跡は、井伊直政在城当時のもの。広範囲にわたる敷地内には散策コースがあり、四季折々の自然も楽しめる。御前曲輪は本丸の詰めにある。2019年度に保存整備事業が完了した。国指定史跡で、日本百名城の一つ。

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