北京の熱狂、再び[8月23日号]

「上野に尽きるね」 2008年の北京五輪、日本女子ソフトボールが金メダルを獲得した瞬間、実況解説者の宇津木妙子さんが万感の思いを込めて発した一言は、宿敵・米国をねじ伏せた上野由岐子投手の熱投413球と共に今なお鮮明に記憶に残っている。

先日、ソフト界のレジェンド宇津木妙子元日本代表監督に話を聞く機会を得た。妙子監督と言えば鬼監督というイメージが強い。非・体育会系の筆者は当日、かなり緊張して取材に臨んだ。しかし、グラウンドを離れた妙子監督は、とても気さくで笑顔の素敵な女性だった。日本女子ソフトや東京五輪、これからの夢について、時に優しく、時に厳しく、ユーモアを交えながら率直に語ってくれた。

特に興味深かったのは、6月に誕生した「宇津木スタジアム」への思い。「ここをソフトボールの聖地にしたい」 妙子監督の話を聞いていると、こちらまで気分が高揚してきた。

宇津木スタジアムでは今月30日から9月1日、日本や米国、台湾などが出場するジャパンカップが開催される。東京五輪前に国内で行われる最後の国際大会で、顎の骨折で戦線離脱していた上野投手が実践復帰する可能性が高い。妙子監督も現地で応援するという。

北京を彷彿とさせるような熱気と感動と興奮が、11年の時を経て再び高崎の地で蘇るに違いない。大舞台に向けてのガチンコ勝負が見られるのは、ソフトボール王国・群馬ならではの特権だ。頑張れ、日本。

(中島美江子)

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