家族って何だろう[6月15日号]

小欄で以前触れましたが、配偶者とは籍を入れない事実婚です。互いに転勤族なので、私たちの結婚の起点は、人前結婚式を挙げて披露宴を開いた日。恩師に仲人をお願いし、上司や友人らを招いて盛大に開催しました。あと1年半ほどで銀婚式を迎えます。

当時は「それで家族って言えるの?」といぶかる人もいました。この間、多くの身近な親戚や友人が離婚を経てパートナーを変えました。一方、当方は同じ顔ぶれで季節の行事や慶弔、身内の病気や事故などで各地を行き来。ある時期集中した婚家の弔事では私が会計を預かることが常態化し、「戸籍って何だ?」と笑い合いました。

「家族」を問う映画が公開中です。カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドールを受賞した「万引き家族」(是枝裕和監督)。公開直後のレイトショーには想像以上の観客がいて、関心の高さがうかがえました。

万引き、車上狙い、年金詐取……。犯罪にあふれた貧しい家庭の日常が、幼い女の子の登場を契機にバランスを崩す。暴力被害の残像がうごめく、複雑な関係で結ばれた「家族」が描かれます。

TOUCH(感動)」と「LOVE(愛)」。是枝監督が映画祭で掛けられた言葉だそうです。虐待やDVの支援にあたる福祉職の方が、是枝作品の受賞を受け弊紙「声」欄に投稿していました。「理不尽に見える家族にも、彼らにしかない明るさや潤いがある」と。「平凡な家族」とは何か。実はどれだけあるのか。家族の定義が、血縁や戸籍だけで線引きできない時代にあることは、間違いありません。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)

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