富岡の文化発信拠点に(Vol.8)

日本童画のパイオニアと称される武井武雄の約400点の作品が並ぶ会場=富岡市美術博物館
日本童画のパイオニアと称される武井武雄の約400点の作品が並ぶ会場=富岡市美術博物館

富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館では、富岡の歴史をたどる資料や富岡市の名誉市民で文化勲章を受章した芸術家・福沢一郎の作品を常に展示しています。さらに年間4本ほどの企画展では、近現代美術や富岡出身または近隣で活動する郷土作家を中心に紹介すると共に、随時イベントを行うなど市民の皆さんや作家さんたちの交流活動拠点となれるよう努めています。

現在の企画展「生誕120年 武井武雄の世界展」(〜9月6日)は、今年8月8日に開館20周年を迎えた当館が富岡市と姉妹都市提携を結ぶ岡谷市にあるイルフ童画館の協力で開催した展覧会です。

「子どものための絵画こそ、優れた芸術でなければならない」という強い信念を持ち、日本童画のパイオニアといわれる武井武雄の約400点を紹介しています。絵画だけでなく版画や本の装丁、デザインや玩具まで、幅広い芸術活動を展開したバラエティ豊かな作品群は、子どもだけでなく大人の目も楽しませてくれる内容になっています。富岡製糸場の入場チケット半券の提示で、入館料200円引きのサービスも実施中です。

富岡製糸場は昨年6月に世界文化遺産登録され、同年12月には繰糸所・東置繭所・西置繭所の3棟が国宝に指定されました。その影響から今も多くの方々が見学に訪れています。これを好機ととらえ、製糸場への来場者にどうやって当館まで足を運んでいただくかが大きな課題となっています。

製糸場で全国から注目されるようになった富岡市。世界遺産と共に、活気あふれる街になるよう当館もさらなる魅力発見の場として多彩な文化を発信していきたいと思います。

 

富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館学芸員
北泉 剛史 さん
【略歴】82年横浜市生まれ。鶴見大学大学院修了。民間企業や博物館勤務を経て、14年7月から現職。

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