新たなドラマ[7月21日号]

今月8日から、夏の全国高校野球選手権群馬大会が開幕。甲子園出場への切符1枚をかけ、球児たちが猛暑をしのぐ熱戦を繰り広げている。3回戦まで計49試合が行われ、コールドは17試合あったが、2点差までの僅差のゲームも同数の17試合。取材した試合はどれも見応えがあり、全体のレベルが上がっているように感じた。
これまでの試合で特に印象深いのは、高崎城南球場で行われた2回戦、富岡実業-太田東戦だ。大会直前に部員が1人増え、10人というぎりぎりのメンバーで試合に臨んだ富実は、三回に本塁打など浴びて5失点。一方的な展開が予想されたが、五回にスクイズとタイムリーで2点差に迫った。その後、投手が踏ん張り追加点を許さなかったものの、惜しくも敗退。だが、神戸絢主将は涙を見せず、「全力を出し切れ、少人数でもできる自信が持てた。後輩には頑張ってもらいたい」と試合後に語った。
少人数で限られた練習しかできない環境の中、勝利を目指すひた向きな姿が目に焼き付いた。3年生が抜け厳しい状況は続くと思うが、この日の試合は次につながる一戦となったはずだし、部員不足に悩む他校にも勇気を与える試合になったと思う。
今日21日から、勝ち上がった16校による頂点を目指す熱い戦いが再び始まる。白球を巡る球児たちの「新たなドラマ」を追っていきたい。

(林 哲也)

掲載内容のコピーはできません。