最前線から [「コロナ禍がなければ、救えた命がたくさんある…]

総局長日記タイトル画像

「コロナ禍がなければ、救えた命がたくさんある。集中治療の提供体制が圧迫されている」。タフで明るい親友は北国で働く救命救急医。深刻な現場の実情を明かしてくれました。

指揮を執る最前線では24時間365日、救急隊やドクターヘリから1分1秒を争う傷病者を引き継ぐと、迅速に診断して最適な治療に取りかかります。ところが、感染者の急増に追われ、大けがや容体急変で搬送される別の病気の患者への治療が十全ではなくなるケースが現実に起きているといいます。空き病床の確保と院内感染防止で、がん手術さえ限界まで先延ばし。救うべき命を救いたいのに――。

もともとは「文系ど真ん中」の同類です。8年間もの学生生活を満喫すると、腕利きのカフェ店長として鳴らし、30歳過ぎに医学部の門をたたいた変わり種。かみ砕いておさらいしてもらいました。

感染拡大のピークは? 「まったく気が抜けない。ウイルスは感染力が強く、乾燥する寒い時期ほど長生き。誰かが鼻や口をこすった手で触ったドアノブや手すりに付いたウイルスの滞在時間も、せきやくしゃみの飛沫が漂う時間も、今後もっと長くなる」

どう食い止める? 「基本の徹底しかない。マスク着用に手洗い、消毒、うがい。自宅もよく換気して」「3密の場には近づくな。気が張り詰めてストレスでうつになりそうなのは医師や看護師も同じ。それでも今は我慢の時。外出も宴席も控えて」

(朝日新聞社前橋総局長 本田 直人)

掲載内容のコピーはできません。