本との出会い[9月27日号]

秋といえば名月、団子に読書だが、最近は書籍や雑誌の売上げが伸び悩んでいる書店もあるとか。出版不況を打開したいと、大手取次会社の日販が昨年から「入場料をとる本屋」をオープンしたと聞き、早速、行ってみた。

場所は、東京の六本木交差点のすぐ近く。コーヒーやお茶が飲み放題とはいえ、入場するだけで1500円(税別)がかかる。訪問時は5分程度の入場待ちに驚いたが、実際、利用してみるとその人気ぶりが分かった。

受付で目印のバッジを受け取り、いざ店内へ。棚には人文・自然科学、日本・海外文学、哲学、ビジネス、歴史、デザイン書など、様々なジャンルの約3万冊が全て一冊ずつ並んでいる。選んだ本は閲覧室や研究室、喫茶室と名付けられた各部屋で自由に読むことが可能だ。オシャレな店内にはベストセラーコーナーや宣伝POPなどは一切ない。20、30代の若者が多く、彼らはお気に入りの本を選んで何冊も手元に携えている。

椅子に深く座り、肘をつき、または頭を抱え、思い思いの読書スタイルで本に没頭。自身も気づいたら約4時間滞在していた。その間、15冊を閲覧し、気に入った2冊を購入。

本をどこで購入しようが全く同じ本だが、場所や状況が変わると向き合い方も変わる。初めての本屋は妙に心地良く、知的好奇心をくすぐるワンダーランドに感じた。都会の本屋の新発想は、出版業界に小さな風穴を開けたに違いない。

(谷 桂)

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