温泉復活で集落再生(Vol.170)

「星尾に温泉を作ろうプロジェクト」のメンバー=南牧村 

高齢化率日本一、消滅可能自治体ナンバーワンの南牧村。その中でも、最奥に位置する星尾集落は80歳以上の高齢者が生活する限界集落である。

そんな集落の存続を願いつつ、2007年に体験型民宿「かじか倶楽部」をオープンさせた。今年で14年目を迎え、ある程度の役割を果たしたと思っている。しかし、集落の存続は生易しいものではないことも痛感している。すなわち、交流人口は増えたとしても、若者を中心とした移住者を迎え入れるための環境整備が最大の課題である。手付かずの自然、古民家群、石垣、段々畑など、日本の原風景が未だ残る環境を生かした取り組みを模索してきた結果、集落の山麓から湧き出る「塩水鉱泉」に着目した。1950年(昭和25)まで、集落の銭湯として活用されていたという。

「これだ!」と思い立ち2017年4月、村民の憩いの場だったとされる温泉を復活させる「星尾に温泉を作ろうプロジェクト」を立ち上げ、仲間を募った結果、20人を超える賛同者が集まった。古民家を借り上げ、改修工事は自力で行うこととした。その中で特筆すべきは60~70代の活躍であった。激動の時代を生き抜いてきた強者たちは、仕事を分担し大活躍してくれた。

2018年に復活した星尾温泉

一方、若者たちはボイラーの購入資金をクラウドファンディングで調達。工事に1年半ほど有したが、2018年9月8日に無事オープンしメンバーの達成感はピークに達した。集落再生とは、言葉では簡単だが、これを実戦するためには限りない知恵とパワーが必要である。理屈ではなく、仲間を増やしながら一歩一歩進んでいかなければいけない。

我々は歩みを止めることなく、昨年からイタリア発祥の「集落まるごとホテル」事業に取り組んでいる。星尾集落全体を一つのホテルと見立て、地域に点在する空き家や歴史的建造物などをリノベーションして宿泊場所にし、地元の施設を飲食や浴場に活用していく予定だ。事業は始まったばかりだが、志を同じくする仲間と実現に向けて邁進していきたい。

体験型古民家民宿かじか倶楽部
星尾温泉木の葉石の湯
代表 米田 優

【略歴】47年北海道生まれ。首都圏の鉄道会社勤務や衆議院議員公設秘書を経て、2006年南牧村にIターンし手打ちそばかじか小屋をオープン。翌07年、同村に体験型古民家民宿かじか倶楽部を開設。17年、村民の憩いの場だっとされる星尾温泉を復活させる「星尾に温泉を作ろうプロジェクト」を設立。翌18年に「星尾温泉木の葉石の湯」をオープン。19年からは、「集落まるごとホテル事業」に着手

掲載内容のコピーはできません。