相談窓口 開設中!

潜在 保育士・看護職 復帰サポートします

看護師や保育士の不足が社会問題になっているところへ、新型コロナウイルスの影響を受け、これらの職種の重要性がさらにクローズアップされている。今号では、資格を持ちながら現場を離れている人を対象に仕事への復帰を呼び掛ける取り組みを紹介する。 (谷 桂、上原道子)

看護職

「県ナースセンター」が支援

群馬県看護協会の荻原京子会長=写真右=と、同協会の監物千代子常任理事

看護師不足が叫ばれる中、県看護協会(前橋)では、保健師、助産師、看護師、准看護師の看護職資格を持ちながら様々な理由で離職した「潜在看護職」に対し、無料で再就職支援を行う「群馬県ナースセンター」を、1993年から運営している。看護職を求める医療機関と潜在看護職とのマッチングが目的で、「いわば看護職のハローワークです」と同協会常任理事の監物千代子さん。「2006年の診療報酬改定が、看護師不足の背景にある」と話す。入院患者7人に対して看護師を1人配置する医療機関は優遇されることから看護師がひっぱりダコに。以来、看護師不足は慢性化した。

ナースセンターへの相談件数は、求人・求職・相談電話を含め年間約2千件。看護経験のあるスタッフが常駐し、一人ひとり時間をかけて対応にあたる。復職の意思はあっても、注射や採血などの技術的な面に加え、進歩する医療や電子カルテなど業務のIT化、離職期間が長いことによる自信喪失など、様々な不安を抱え復帰をためらう人も多い。

同協会ではこれらを解消してもらうため、県内の病院と連携した無料講習会や研修会を年に数回、開催。最新の医療や看護の知識・技術を、現場の声とともに学べるとあって、参加者からは「自信がついた」など好評だ。同協会の荻原京子会長は「ぜひ資格や経験を生かしてほしい。復職への一歩を踏み出す足がかりとして積極的にセンターを利用して」と呼び掛ける。県ナースセンター(027・269・5202)。

なお、コロナ禍を受けて昨年8月に県は、現役の看護職の仕事の悩みに対する無料相談窓口「ぐんまナース・ホットライン」も同協会内に開設した。感染症への恐怖、風評被害、病院での働き方や人間関係などシビアな相談が寄せられてはいるものの、相談件数は1カ月に数件と思いのほか少ない。荻原会長は「本当に相談を必要としている人にホットラインの存在が浸透していない可能性も。匿名、秘密厳守なので気軽に相談して」と話す。平日午前9~午後4時。同ホットライン専用(027・289・5090=通話料は自己負担)。

資格保持者の動向把握

潜在看護職を掘り起こそうと2015年10月に「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の改正が施行され、看護職は離職時に住所、氏名などを各都道府県ナースセンターへ届け出ることが「努力義務」に。県内で看護職の免許を持ち就労する人は2万7千人(常勤非常勤合算)。一方、潜在看護職の数は正確にはつかめていないのが現状。荻原会長は「資格保持者の動向を把握できる制度について検討されている。現状を知ることで現場への復帰等に直接的な働きかけができるのではないか」と期待している。

保育士

登録者半数が潜在保育士

保育士お仕事相談室で相談にあたる楯理事長

資格を持ちながら保育現場を離れている「潜在保育士」。県内では約1万4千人に上る。保育士登録数約2万5900人(2020年県こども未来部調べ)のおよそ半分以上が資格を生かしていない。

前橋市内の私立の認定こども園と保育園43園で構成するNPO法人「まえばし保育ネットワーク」の楯保幸理事長によると、近年では保育士不足が社会問題となっているという。原因としては、「待機児童を出さないための施設増設」「認定こども園移行」「学生数減少」などで、国の基準は満たしているものの、「資格保持者に、経験を生かして勤めてもらい保育を充実させたい」と問題の解消に取り組む。

同ネットワークでは、市内の複合施設「ケービックス元気21まえばし」にある「子育てひろば」で、今年1月から「保育士おしごと相談室」を初開催している。 「おしごと相談室」とは、資格を持ちながら保育現場を離れている人や保育士を目指している人を対象に約1時間、現役の園長が無料で相談に乗る。相談は、まず不安や希望をていねいに聞くことから始め、個々の質問に応じて、「子育ての経験を生かせる仕事であること」「保育園と認定こども園の違い」「時短パートなどの働き方」「ピアノを弾けなくても勤務できる」などざっくばらんに答える。楯理事長は「園の方針や内容もそれぞれ違うので、ミスマッチにならないように、見学もできることを伝え、その人に合った園を紹介します。子連れでも気軽に来てください」と呼び掛ける。3月までの毎週金曜日午後1~4時。問い合わせは(027・231・7102)。

また、県社会福祉協議会の福祉マンパワセンター(前橋市)でも、保育士の紹介や相談を受け付けている。同センター(027・255・6600)。

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