第103回全国高校野球選手権群馬大会 決勝 前橋育英V5

夏の甲子園出場を決めた前橋育英=上毛新聞敷島球場

県内66校61チームが出場した、第103回全国高校野球選手権群馬大会決勝が先月27日、前橋の上毛新聞敷島球場で行われ、前橋育英(以下、育英)が延長十二回、3時間に及ぶ激闘の末、健大高崎(以下、健大)を6―1で下した。育英は、コロナ禍で中止となった昨年の大会をはさみ、5大会連続6度目の夏の甲子園出場となる。    (文・谷 桂、塩原 亜希子 撮影・高山昌典、横山博之)

延長12回までもつれ込む熱戦

荒井監督を胴上げする前橋育英の選手たち

甲子園切符をかけた2年ぶりの決勝は、大会5連覇を狙う育英と、春夏連続の甲子園出場を狙う健大との対戦となった。両校の夏の決勝対決は4度目。試合は、育英・外丸東眞(3年)と、健大・今仲泰一(3年)の両エースが投げ合う、緊迫した投手戦となった。

先に均衡を破ったのは健大。両チーム無得点で迎えた五回裏、1死から四球の高村尚杜(3年)をバントで送り2死二塁。7番・吉里竜門(3年)の中前への適時打で1点を先制した。追いつきたい育英は八回表、1死一、二塁の場面で4番、主将の皆川岳飛(3年)が打席に。左前への適時打で二塁走者が生還し、同点とした。

その後、両チームともに得点がなく、1ー1のまま試合は延長戦に。十二回表、育英が無死二塁のチャンスを迎えると、3番の岡田啓吾(2年)が右翼スタンドに勝ち越しの2点本塁打を放った。さらに外丸、横倉拓実(2年)の適時打で3点を追加。この回一挙5点を奪う打者一巡の猛攻撃で試合を決定づけ、6-1で育英が勝利した。

全国大会は今月9日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕し、無観客で行われる。育英は、大会第5日目の第4試合、京都府代表の京都国際(初)と対戦する。荒井直樹監督は「甲子園でも、投手を中心にしっかり守る自分たちの野球を」と意気込む。

春の負けがなければ夏の優勝はなかった

前橋育英3年 主将
皆川 岳飛

「夏の大会5連覇は、先輩の代から思いが受け継がれている勝利だったので、ものすごく気合が入っていた」と皆川は試合後、ほっとした表情を見せた。春季大会は3回戦で太田にコールド負けした。本大会は7年ぶりにノーシード。同じブロックには第1シードの関東学園大附など強豪がひしめく中で、育英は着実に駒を進めていった。皆川は、「昨秋、健大に負けて(その反省から)冬に取り組んだことが、春に結果として出せなかった。その後もミーティングを重ねてゼロからチームを作り上げ、夏に向けて一丸となって思いを高めた。春の負けがなければ夏の優勝はなかったかもしれない」と振り返った。

決勝戦では、両校とも譲らない苦しい展開の中、健大に先制された。しかし、八回表、育英1死一、二塁のところで、4番・皆川に打順が回ってくると、キャプテンとしての意地を見せ、チャンスを逃さずに同点打をたたき出した。「次の打者に回そうと、リラックスして自分のスイングができた」と話している。

次の舞台は、兄・皆川喬涼(現中央大4年・投手)も立った甲子園。「相手の京都国際は選抜にも出場している強い相手。勢いにのまれず自分たちの野球をやりたい。甲子園は県大会とは別の場所なので、緊張もあるが守備からリズムをつくる野球をしっかりとやりたい。群馬代表として、勇気や感動を与えられるよう頑張る」と意気込む。

とにかく冷静に 目の前の1球を攻める

前橋育英3年 投手
外丸 東眞

前橋育英を劇的勝利に導いたのは、エース外丸のピッチングだった。1回戦から全6試合で先発。準決勝までに大会タイとなる9本塁打を記録した健大打線を4安打1失点に抑え、延長十二回、166球を一人で投げ抜いた。荒井監督は、「相手も強かったが、外丸は本大会で一番良かった」と試合後に語った。

外丸投手は、2年夏からベンチ入り。背番号「1」は去年の秋からだが、今春の太田戦は、相手に打たれることばかりを怖れて、四球を連発。結局、チームが敗退して悔しい思いが残った。「監督や応援してくれた人に申し訳ない気持ちでした。でも、春の負けがあったから、夏の甲子園を目指して取り組んできた。とにかく冷静に、目の前のバッターや1球に対して攻めることに重きを置いた」と語る。

健大については、「小澤君を抑えることが攻撃の流れを止めること」と七回には攻め続けた末、空振り三振に仕留めた。「健大のエース今仲君は、すごい投手だったが、先に折れたほうが負け」と我慢強く粘ったと振り返った。十二回表、無死二塁で3番・岡田が放った2点本塁打で勝ち越ししたときも、「試合終了まで集中を切らさなかった」と話す。その裏、ゲームセットになると、外丸は外野手野村に向かって、初めて喜びの感情を爆発させた。次は夢の甲子園に舞台を移し、3年間の思いをぶつける。

全員で支え合う団結力が自慢のチーム

健大高崎 主将
網川真之佑

打ち勝つ野球で快進撃を続けてきた健大高崎だったが、決勝戦では育英・外丸の好投に強力打線が沈黙。「チームを勝たせられなかった責任を感じる。先輩方にも申し訳ない。先生にも恩返しをしたかった」と主将として悔しさをにじませた。育英に対しては「一瞬の隙も見逃さない素晴らしいチームだった」と振り返る。

2年秋から正捕手に。春のセンバツ後、チームの雰囲気を変えるため新たに主将となった。「いい意味で個性があり我が強く出てしまいがち」という部員たちを、チームのために尽くすことを意識した、団結力が自慢のチームにまとめあげた。

夏の聖地には、あと一歩及ばなかった。「いつも最後に立ちはだかるのは育英だった。来夏は何としても勝って甲子園に」と後輩たちに思いを託す。

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