群馬のオリジナル8品種 召し上がれ

秋の味覚リンゴの季節到来!
人気の「ぐんま名月」からニューフェースの「紅鶴」まで

リンゴシーズン到来 ! 9月に入り、秋の足音が近づいてきました。群馬は収穫高全国8位を誇るリンゴ王国。県内最大産地の沼田で今日4日に統一開園式(沼田市りんご組合)が行われるのを皮切りに、県内の観光農園も本格的にオープンする。今週は、県が開発したオリジナル品種8種を一挙に紹介。地元でしか味わえない新鮮な秋の味覚をご堪能あれ !                              (上原道子)

 

収穫量は全国8位 ほとんどが直売

群馬県の2019年度のリンゴの収穫量は8040㌧(農林水産省調べ)で、青森、長野、岩手、山形、福島、秋田、北海道に次いで全国第8位、関東では1位を誇る。

県蚕糸園芸課によると、市町村で最も多く生産しているのは沼田市で、以下みなかみ町、渋川市、川場村、中之条町と続く。日照時間が長く昼夜の寒暖差が大きいというりんご栽培に良好な条件がそろう、中・北毛地域が上位を占めている。

沼田、みなかみ、渋川の地域では、昭和30年代(1955~65年)から衰退を始めた養蚕に代わり、リンゴの生産を行う農家が増えていった。交通の便が良くなるにつれ、観光リンゴ園として発展。県も他の産地との差別化を図ろうと、1962年からオリジナル品種の開発に積極的に取り組んできた。

全国上位の青森や長野が全国の市場へ出荷するのに対し、群馬は農園での店頭販売やもぎ取りなどの直売が多く、市場に出回ることはほとんどないという。

なお、県内の品種別栽培面積割合(19年農林水産省統計より)は、リンゴの定番「ふじ」が46%、県育成品種が40%(内訳:「陽光」17%、「ぐんま名月」13%、「新世界」4%、「あかぎ」4%、「おぜの紅」1%、「スリムレッド」 1%)、その他14%(内、「つがる」6%)となっており、他県にないこだわりの品種にかける期待の割合も大きいと言える。
※「ふじ」は国の品種、「つがる」は青森の品種

開発から20年以上、最新品種、本格デビュー!

今が旬の「おぜの紅」や人気の「ぐんま名月」など、群馬オリジナル品種は8種。ニューフェースの「紅鶴」は、県の品種「陽光」と国の品種「さんさ」との掛け合わせで8番目の県育成品種として沼田市の県農業技術センター中山間地園芸研究センター(旧・農業総合試験場北部分場)で開発された。これまでの県育成品種の収穫時期には10月上中旬に端境期(果実の取れない時期)があり、秋の行楽シーズン最盛期に収穫できる品種を作ってほしいと農家から切望されていたからだ。

紅鶴」の開発に携わった荒木さん=群馬県農業技術センター中山間地園芸研究センター(沼田)

16年から県内の農家限定で苗木が配布され各地で栽培がスタート。3年経った昨年から各農園は試験的に直売を始めた。「沼田市りんご組合」の桑原泰雄組合長(53)は、「紅鶴は見た目もきれいだし作りやすいので、今後さらに増やしていきたい品種。販売する農園も徐々に増えていくと思う」と高く評価する。開発に携わった同センター独立研究員の荒木智哉(40)は、「パリパリした食感で甘みと酸味のバランスが良く、リンゴらしいリンゴ。是非、味わって欲しい」と呼びかける。

観光農園で旬の味を楽しんで

直売&収穫体験 各地で続々スタート

今日4日、沼田の生産者らでつくる「沼田市りんご組合」による統一開園式が行われ、市内の観光リンゴ園が順次オープンする。同組合に加盟する74軒で直売を行い、中旬からは、もぎ取りも楽しめる。

県内その他の各地でもリンゴ園が続々開園。おもなリンゴ園の情報は、各市町村の観光協会や観光課へ。

■沼田市観光協会(0278-25-8555、https://www.numata-kankou.jp/fruit/apple/index.html)
■みなかみ町観光協会(0278-62-0401、http://www.enjoy-minakami.jp/taiken.php?catid=35&blogid=9
■渋川市観光課(0279-22-1111、http://www.city.shibukawa.lg.jp/kankou/fruits/fruits/p000157.html
■川場村観光協会(0278-52-3412、http://www.kawabakankou.gunma.jp/orchard/apple/
■中之条町観光協会(0279-75-8814、https://nakanojo-kanko.jp/experience/

甘味と風味をぎゅっと!

県育成品種のリンゴをジュースに加工し販売している農園もある。

みなかみの観光農園「モギトーレ」(0278-64-2800)では、同園で収穫した「ぐんま名月」のりんごジュースが人気だ。糖度の高いリンゴをそのまますりおろしにしたジュースは、コクのある甘みが特徴。同園では今月下旬からリンゴ狩りも楽しめる。

一方、道の駅・川場田園プラザ(0278-52-3711)の地場産品直売所「ファーマーズマーケット」では、村内の各農園が作ったオリジナルリンゴジュースを常時取り扱う。川場産「ふじ」を主体に各農園が独自にブレンドしたものが多いが、中には「あかぎ」「陽光」「ぐんま名月」などを単体で絞ったストレートタイプや、すりおろしタイプもある。

現在、各地で販売しているのは2019年産の果実を絞ったもの。10月頃からは20年産のジュースが並び始める。

掲載内容のコピーはできません。