音楽で心豊かに

県内の文化ホール 今月から公演再開へ

座席制限&マスク着用&消毒を徹底

新型コロナウイルスの影響で公演を中止、延期していた県内の文化施設で、7月に入り続々と再開の動きが出ている。バイオリンやピアノのリサイタル、弦楽四重奏コンサート、ジャズライブ、ミュージカル、オーケストラ公演、市民参加型イベントなど、プロアマ問わず公演内容はバラエティーに富む。各施設とも国や県、市町村のガイドラインに基づき、座席数の制限やマスク着用、手指消毒など新型コロナウイルス感染拡大防止対策を徹底した上で来場者を迎え入れる。状況は予断を許さないものの、施設や公演主催者はコロナ禍と音楽活動の共存に向けて、「新たな一歩」を踏み出す。(中島美江子、塩原亜希子)

 

先陣切るのは群響弦楽四重奏のコンサート 高崎芸術劇場

高崎芸術劇場では、今月から4カ月ぶりに公演が再開。

先陣を切るのは、19日の群響交響楽団首席奏者による弦楽四重奏アンサンブルコンサート。2月末から公演を休止していた群響だが、まずは弦楽四重奏からのスタートとなる。午後2時と同6時からの2回公演で、各回定員は客席の4分の1にあたる100人に制限。約5カ月ぶりとなる群響公演チケットは、今月1日から群響会員向け、6日から一般向けに販売開始したが、昼公演は既に完売し夜公演チケットも残りわずかという。同楽団の渡会裕之常務理事兼音楽主幹は、「再開を多くの方が心待ちにして下さっていると分かり、本当に嬉しい。群響メンバーは、プライベートレッスンなどで研鑽をしっかり積んできました。首席奏者によるアンサンブルで、豊かな時間を過ごしてもらえたら」と微笑む。なお、来月29日はフルオーケストラによる夏休み恒例群響コンサートを開く。

一方、同劇場は来月から「ソーシャルディスタンス対応公演」と銘打ち、2公演を主催する。いずれも客席の間隔をあけ、定員は半分の各200人に制限しての開催だ。

8月2日午後4時からは同劇場スタジオシアターで、クリヤ・マコトさん(ピアノ)、納浩一さん(ベース)、則竹裕之さん(ドラム)によるユニット「アコースティック・ウェザー・リポート」のジャズ公演、同19日午後1時半からは同劇場音楽ホールで中村愛さん(ハープ)、山田磨依さん(ピアノ)によるデュオ「メルコレディ」のクラシック公演を開く。

同劇場の担当者は、「3月以降、見合わせていた主催公演を8月から再開します。安全と安心を第一に、出来る限りの感染予防策を講じ来場者を迎え入れたい。両公演の出演者は国際的に活躍する国内トップレベルの実力派や、話題性に富んだ若手ミュージシャンなので、どちらもダイナミックなステージとなるでしょう」と話す。
群響公演は同事務局(027・322・4316)へ。高崎芸術劇場主催公演は(027・321・3900)へ。

地域と人、音楽の力で、ともに乗り越える 桐生市市民文化会館

24日午前11時半から、同市出身のピアニスト下山静香さんを招き「ともに紡ぐシルクプロジェクト ワンコインコンサート特別編」を開催。コロナ禍でコンサートの中止・延期が相次いだ2月から、およそ5カ月ぶりに、観客が入ってのコンサート開催となる。

ワンコインコンサートは、プロの演奏を500円で気軽に楽しめる公演として、年に数回を行ってきた。今回は、共にコロナの影響を受けた市内商店と連携した特別企画としての開催となる。プログラムは「いま、聴きたい名曲で巡るピアノ旅」と題し、聴き馴染みのあるクラシックの名曲を中心に、ショパンの「ノクターン」や「上を向いて歩こう」などの演奏を予定。コロナ禍の影響を受けた市民に、「生の本物の音楽を聴く時間を届け、少しでも地元活性化の力になれたら」と企画した。

プロジェクトは、当日に配られるプログラムを市内加盟店で提示すると、ドリンク1杯無料や値引き、オリジナルグッズプレゼントなど店独自のサービスが受けられる。担当者は「コンサートを楽しんだ後は、市内でランチや買い物をし桐生を満喫してほしい」と話す。全席自由500円。同会館(0277・22・9999)。

バイオリンにミュージカル、多彩な演目楽しんで!  前橋テルサ

約4カ月ぶりに観客を入れた公演がスタートする前橋テルサ。15日は同市出身のバイオリニスト戸澤哲夫さんによるコンサート、同25、26日は前橋ミュージカル同好会「BaMbina」によるミュージカル公演「ファントム オペラ座の怪人」が開催される。

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団コンサートマスターの戸澤さんは毎年、郷里でリサイタルを行ってきた。今公演も事前に決まっていたが、コロナ禍で状況が一変。戸澤さんは「開催か中止か、直前まで悩みましたが地元の仲間の協力を得て、感染予防対策が取れると感じ公演を決めました」と語る。プログラムは、バッハ「無伴奏ソナタ第2番イ短調」ベートーベン「バイオリンソナタ 春」など。「鬱々した気分を吹き飛ばすような、祈りに通じるような選曲にしました。今回、高齢や既往症などの事情で来場できない方に向け、有料録画配信もします」と戸澤さん。

一方、女子高生らで結成されたBaMbinaは、教諭や保護者と相談しながら準備を進めてきた。代表の国松真梨華さんは「練習も換気やマスク、距離を取るなどして取り組んでいます。公演できる喜び、感謝の気持ちを忘れず本番に臨みたい」と意気込む。
戸澤さんの公演は、15日午後7時開演。一般3000円、学生1500円。要予約。相澤さん(090・2973・7958)。

ミュージカル公演は、25日午後4時半、26日午後1時開演。12日までに予約フォームhttps://forms.g
le/uzJDSeEKp9w784Nb6から申し込む。

市民参加企画で、ステージを盛り上げよう! 太田市民会館

太田市民会館では12日、市民参加型イベント「夢のステージをあなたへ 市民会館で〇〇してみたい!」を開く。約1500人収容のホールのステージを30分貸し切りにし、市内の小学生~高校生がパフォーマンスを披露する。

同館は2月中旬以来、貸しホール利用を除き、これまで観客を入れてのイベントはすべて中止・延期になっており、今後も再開には時間がかかるという。コロナ禍で会館利用が激減している状況を受け、市民にステージ発表の場を提供しようと、今回のイベントを企画。

参加団体を募集したところ、締め切りまでに13組の応募があった。それぞれ、ピアノやバイオリン、フラダンス、ゴスペルなどのパフォーマンスを発表。参加者は、コロナ禍で公演を中止にしたグループや個人、ステージでミュージカルの曲を歌ってみたかったという高校生など様々。観覧できるのは保護者ら親族のみとなっている。
なお、同館では今後も、8月7日に、照明や音響など技術スタッフの仕事を体験する「レッツ トライ!」など、市民参加型のイベントを予定している。太田市民会館(0276・57・8577)。

掲載内容のコピーはできません。